こころあそびの記

日常に小さな感動を

『この地球の続きを』、明日に夢を


 英語で「ウイット」、フランス語で「エスプリ」、日本語で「機知」。
 気の利いた言葉の魔術で人々を魅了できる力は、神様から特別に授かったものなのでしょうか。
 
 そんな魅力あるお二人を朝刊から拾ってみました。

 お一人目は、「産経抄」から。
 2016年にトランプ大統領と初会談したときの安倍晋三元首相の言葉です。
 「あなたはニューヨークタイムズにたたかれた。私もニューヨークタイムズと提携しているA新聞にたたかれた。だが、私は勝った」。
 トランプ大統領はすぐさま親指を立てて「俺も勝った」と返したと云います。
 相手を祝勝する気持ちを、こんな形で表せたからこそ、その後の付き合いがスムーズに運んだことは世界の知るところです。

 お二人目は昨日、プロスケーターへの転向を発表した羽生結弦さん。
 記者の、プーさんの行方を尋ねる質問に答えて「森へ帰りました」。
 うまい!座布団一枚!この人も言葉の魔術師です。

 機転が効く言葉は周りのみんなを虜にできます。なぜか。それは、相手を思いやる優しい気持ちが人の何倍もある豊かな人間性から発せられるからではないでしょうか。

 
 昨日、2025大阪万博のテーマソングが発表されました。
 コブクロの『この地球(ほし)の続きを』という曲。皆様もう聴かれましたか?
 アップテンポで老若男女すべてが元気になれそうな曲です。
 開場を待つ間にこの曲が流れたら、入場への期待感が高まること間違いありません。
 サビの部分の五文字「●●●●●」は最後まで悩んだそうですが、最終的に1970年の『世界の国からこんにちは』へのオマージュをこめて「こんにちは」を採用したとのことです。波及効果として、年寄りにとっても2025大阪万博が身近に感じられるようになりました。

 「こんにちは 桜咲く
  こんにちは 幕が開く
  こんにちは 海を越え
  この命は 響きあう」

 ドドドミドレミラ~♪朝から流していたら、娘に「もう!一日中(頭の中をメロディーが)流れるから止めて」と言われてしまいました。誰もが口ずさめるメロディー。それを目指されたコブクロのお二人の思う壷に快くはまりましょう。
 

 いつだったか、日本野鳥の会のメンバーが、「舞洲(会場)に野鳥が飛来して生息を始めています」とその対処を市長に質問されたことがありました。そのときの松井さんの対応が、「鳥のために埋め立てたのではないからね」と、突き放しの言葉でした。
 もっと他に言葉があるだろう。
 なにがSDGs万博だ。もう、大阪万博なんて行きたくもない!と思ってしまったことでした。
 
 なのに、コブクロさんの歌を一回聞いただけで気持ちが反転して行ってみたくなりました。やられた!コブクロにテーマソングを公開依頼したのは松井さんです。彼の罪作りな言葉は、『この地球の続きを』でチャラになってしまいました。

 1970年。私が高校生でした。
 それから55年。孫が高校生です。
 この歌の最後はこう締めくくられています。

 「こんにちは いつの日か
  A Whole New World
飛べる日を夢見続ける
  子ども達が変えてゆく
  この地球の続きを」

 孫たちの時代にもこの地球がずっと続いていくことを夢見てワクワクしています。