こころあそびの記

日常に小さな感動を

「胃袋を掴まれる」って!

 千切れ雲がいっぱい。
 天空の様子が垣間見えます。
 天気図の上で台風は遠のいたようでも、大気は大いにかき回されているようです。
 低気圧と高気圧では、かきまわし方が違うらしいです。 
 台風は低気圧ですから、反時計回りの下降気流。入道雲に代表される高気圧は時計回りの上昇気流。
 両者がかき混ぜる渦の中で、ぐるぐる攪拌されていると考えると、人間なんてラララですよね。
 いつもより澄んだ空色を見ながら、台風が静かに過ぎ去ってくれることを祈っています。

 さて、「胃袋を掴む」という言葉を久しぶりに思い出しました。
 友人のお母様が「男の子は胃袋掴まれたらおしまい」とおっしゃっていたことを、今朝の『ちむどんどん』が描いていました。
 男性は美味しいお料理を作れる彼女にイチコロという意味です。反対も然りであります。
 もっとも、今朝「掴まれた」人は、男の子ではなくて、そのお母さんの方でした。
 じっくり煮含められたお品は、鈴木保奈美さんの心を溶かすでしょうか。あのとろけるような笑顔は掴まれた証かな?
 
 生きることは食べること。SNSでもお料理番組や投稿のなんと多いことでしょう。一生ご縁のない高級料亭から、素人の簡単料理まで、尽きることがありません。

 女性の社会進出が進んで、花嫁修業はどこへやら。料理教室に通わなくても、ネット動画を見ながら、何でも作れる時代になりました。
 でも、実際の味見が、画面相手ではできないところが欠点です。
 その時威力を発揮するのは、ベロのちからです。
 平野レミさんが昔から、ベロの力とおっしゃっているアレです。
 お料理は一朝一夕で上手になれるわけではありません。
 ベロの鍛錬が必要で、子供の頃から慣れ親しんできた味覚がものを言います。
 つまり、母の味です。
 なにも豪華な料理ではなく、毎日食べてもあきない家庭の味こそが大切です。
 今の子はファストフードを美味しいと思っています。ご多分に漏れず、うちの孫たちも「マクドにしよか」と言えば大喜びです。
 そんな安易な味がベロ障害を作らなければよいがと、また老婆心です。

 そういう意味もあってのことか、土井勝さんのご子息である土井善晴さんが「一汁一菜」を提案されています。
 これは、成人病予防の観点のみならず、ベロを鍛えるためにも大いに役立つと思っています。
 日頃「一汁一菜」を食べて素材の味を知ったベロなら、たまの特別食の味わい方も変わることでしょう。
 

 今や、調理器が進化して、セットしておけば、チン!と出来上がる料理まであります。それはそれで、時代の要請なのですから、鍋で火を使って炊いてほしいとは申しません。調理法は不問です。
 今日も美味しい料理をお腹いっぱい食べているかしら。母の心配がその一点にあることは、これからも不変でありましょう。
 最後に、胃袋を掴まれた重子さんの今後の心変わりが楽しみです。