こころあそびの記

日常に小さな感動を

光る瑠璃色

 首を長くして待ってた郵便物が、ようやく届いてほっとしています。
 中に大形先生が揮毫して下さった扇が入っていたからです。
 仕事は多忙な人に頼め、というのは本当です。常に動いている人だから、その動線上で仕事をこなしていきます。
 先生も、研究発表だけでなく、教え子のお世話など毎日走り回りながら、途中の車内で論文を書いたりなさるほどの売れっ子学者さんです。忙しいから仕事が早い。
 このユーパックも移動中、京都駅構内のポストに投函してくださったもの。投函日は先月28日だったので、ちよっと気が揉めたわけです。

 先生は時々、みんなに書画のプレゼントをくださいます。
 先日、「書いてほしい字はありますか?」と訊かれたので「瑠璃」を厚かましくお願いしてしまいました。
 「瑠璃色の地球」と聖子さんが歌っておられますが、実際に宇宙船に乗ると上空に上っていくにつれ、水色が濃くなって、瑠璃色になり、大気圏を離れると宇宙の玄色に包まれるそうです。
 

 ”瑠璃“は高価な宝石を表す言葉です。
 ラピスラズリ
 フェルメールの代表作『真珠の首飾りの少女』が頭に巻いていた青いターバンの色です。
 この色が画面を引き締めて見るものを惹きつけます。それがラピスラズリの持つ魔力ではないでしょうか。
 不思議なことに、この貴重な宝石がアフガニスタンにしか埋蔵されていないことの意味を考えてしまいます。
 砂漠の中で見る青色が、乾いた心を潤す働きを期待するものとして埋められているのでしょうか。
 そういえば、回教寺院のモスクも青のタイル模様の美しさが際立ちます。
 太陽の火の色を鎮める水の青。原始世界の人々の願いは、いつまでも変わることがないようです。

 閑話休題。世間には大形先生のように、忙しくてもまめに気働きができる人がおられます。
 感心して見てるだけの私と何が違うのかと観察するに、人に優しいという特性をお持ちだと気づきます。
 それは、人を信じているから成せるともいえるように思います。
 自分と他人を分けるバリアが全くありません。
 怖がりの私は今でも、この障壁が取り除けなくて世間を狭くしているという自覚があるのに、破れません。
 もっとひろく、もっとおおらかに。
 そんな人に憧れてついて行きたくなってしまいます。