こころあそびの記

日常に小さな感動を

 「三人寄れば文殊の知恵」(『阿含経』)という教えがありますが、これは三人が同じところを目指す場合のことでありましょう。
 こと、人間関係となれば、三人の集まりは話がややこしくなります。

 「あんたのお母ちゃんはいい人なんよ。私と二人やったらね。でも、三人になるとうまくやれない」とは、母の親友が私に漏らした言葉です。
 巷では、三人で一つの社会ができるから、兄弟は三人が理想と流布しています。
 でも、どうでしょう。彼女は一人っ子で母は7人兄姉の末っ子です。
 片や、兄弟社会を知らずに育ったにもかかわらず社長業という仕事をこなせて、もう片方の、たくさんの兄や姉に揉まれた母は協調性が育ちませんでした。
 それを目の前で見てきたから、そんなことではいけないと思ってきたはずなのに、上手く社会に溶け込む方法が分からない不器用な私です。

 昨晩の『プリズム』を観て、そんなことを思い出しました。
 ただし、単純なストーリーでは面白くないから、LGBTというコンプレックスを織り交ぜて、理解を難しくしてありましたが、三人の人間関係の話であることは変わりありません。

 ヒロインの杉咲花さんが声をひっくり返すほど熱演されて、ドラマが佳境に入ったことを感じました。
 浅野妙子さんが、今回、織り込んだセリフは、
 「自分が幸せでないと、周りの人を幸せにできない」
 というものでした。
 

 複雑化した世の中で、自分が幸せであるかどうかさえ見失う人が増えています。
 その答えを他者に委ねたい気持ちは分かるけれど、古来、青い鳥はすぐ近くにいると決まっています。迷子になる前にすべきことを見つけましょう。
 
 自分が幸せであると思える人は、自分を愛している人と言い換えられます。そして、それは自分を信じる強さを持つ人でもあります。
 単なるナルシストは当てはまりません。
 「自分の弱さを、他者を守ることでごまかそうとする」
 昨晩のセリフです。考えさせられる言葉です。

 昨日は、ヒロインが自分を愛せていないことに気づくところで終わりました。
 近頃になって思うのは、「愛する」ことも練習がいるということです。
 自分を大切にすることを知った人だけが、人を幸せにできるという法則の探求は、一生かけてもいい勉強だと思います。