今日は国民の祭日『秋分の日』です。「先祖に供養と感謝を捧げる日」として制定されました。
昼と夜の時間が同じになる日。
太陽高度が夏の頃より下がってきて、大気の涼しい日などは柔らかくなった光線を心地よく感じることができます。
仏教では、この日を「彼岸の中日」とし、前後の一週間を「お彼岸」と呼んでいます。
「彼岸」は西方浄土にあって、ご先祖様のいらっしゃるところです。
秋分の今日。太陽は真東から上り、真西に沈みますから、この世とあの世が通じやすいとされました。先祖のことを想うにふさわしく、供養も身近に感じられたのではないでしょうか。
般若心経に登場する「波羅蜜」は、サンスクリット語で「彼岸に至る」という意味であり、悟りの境地に至ることだそうです。
お彼岸はその悟りの境地に達するための修行期間で、その間にする六つの修行が、「布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧」です。
自己を再点検して、また歩き出す。そんな節目も太陽が与えてくれるものと考えると、太陽に無限の感謝を捧げたくなります。
さて、最も古い中国医学の古典『黄帝内経』に、「秋は容平」と書いてあります。
「容」という字を漢和辞典で引いてみました。
「谷」は、あつめるの意。
ウ冠は、家の屋根。
物をあつめて覆うことが「容」の意味でした。
また、「秋」はノギ偏の意味する「稲」と「火」からできています。
稲を収穫して、太陽で乾かすときが秋という字です。
どちらをみても、収穫の時であります。
これらが教えていることは、秋は、収穫したものを仕上げたり、整理したりする季節です。
新しいことを始めようとするのは、春夏の成長発散の季節にすべきことでした。
自然が収斂していくときに、自然に逆らって発散することはよろしくありません。
最高の養生法は「自然と調和して生活する事」に尽きます。
新しいことを始めるのは来春を待ちましょう。
最後に、秋はゆったり過ごすことが大切です。これは、どの季節にもいえることですが、秋には特に大切なことなのです。
秋は下心を付ければ、「愁い」です。
内向きになりがちな心を開く方法は、寝過ぎないこと。早寝早起きして、体を動かすことです。
動くことで「気」が巡ります。
美味しい収穫物をいただいて「気」を作り、散歩して「気」を巡らせる。
この好循環が健康をもたらしてくれます。