空が、雲が、太陽が、両手を大きく広げた私の胸に陽気を送り込んでくれます。今日もいい日になりそうな予感は、朝の光を浴びることで現実になります。
『舞い上がれ』。
空が好きな人にはたまらない朝ドラが始まりました。
私事ですが、昔、サンケイリビングというタブロイド紙が全戸配布されていた頃のことです。
「セスナ機に乗ってみませんか」と題した、小さな囲み記事が目に止まりました。
私自身、その頃は空を見る余裕もなく、身辺のゴタゴタから逃れるために空に憧れて、そんな記事に惹かれたのかもしれません。
早速、問い合わせて、上の息子二人を入団させることにしました。
それは、「航空少年団」という名称で各空港を拠点に活動し、役員は航空業界にお勤めの方々でした。
セスナ機に毎回乗るのではなく、最初に子どもたちに夢を持たせて下るためでした。ありがたい経験をさせていただきました。
活動は、他の少年団と同じように主に郊外学習で、夏には水泳合宿、冬はスキー合宿もありました。
学校以外に交友関係が広がったことも、彼らには勉強になったはずです。と、親の自己満足。
何はともあれ、スタッフの皆様には本当にお世話になりました。ありがとうございました。
『舞い上がれ』は、凧が飛ぶところを見て、空に憧れを持つように話は進むようです。
そこで思い出すのが、「航空少年団」で、一番多かった紙飛行機作りです。
紙飛行機を飛ばすことが、流体力学の基本。そんなこととはつゆ知らず、毎回の準備に追われた日々も懐かしいことです。
紙飛行機は屋内競技ですが、片や、凧揚げは屋外、それも広い場所がいります。
でも、凧を揚げる場所がないという理由で、この遊びが廃れるのはもったいないことです。遊びながら空と戯れることができる初めての貴重な経験ですから、なんとか残してやりたいものです。
幼かった頃、広場で風に乗せるまでの父の奮闘をうっすらと覚えています。空を完璧に捉えた凧だけが、どこまでも上がっていくのです。そうなったら初めて私の手に糸を持たせてくれるのですが、その時の手の感触は忘れがたく、唸る感じが今も残っています。
御多分に洩れず、「航空少年団」が子ども達に果たした役割は目に見えないものです。
しかし、上の子が「お母さん、空気の流れは美しいよ」と実験データを見せてくれたり、下の子がヘリを修理するために全国を飛び回ったりしているのは、「航空少年団」で教わったことが影響しているのかもしれないと思って、また自己満足。
この子たちも、いつか、私くらいの年齢になって、落ち着いて空を見上げる日が来たとき、私が願ったことを察してくれたらうれしく思うことでしょう。
「天上大風」。
もっと自由に生きていいんだよ。