こころあそびの記

日常に小さな感動を

誰かのために

 

 涼しくなったので、愛犬と久しぶりに散歩に出ました。

 「そんなもん写真に撮るんかい」とでも言いそうなものですが、彼は従順に歩みを止めて待ってくれるかわいい犬です。

 路傍のススキやセイダカアワダチソウが急な寒さに身をかたくしているようにみえました。

 風は北風。冷たい風が顔に吹き付けてきます。

 早々と炬燵に足を突っ込んでいるのがばれて、若者に笑われています。

 

 

 朝刊から、同じテーマを見つけるとうれしくなる質でして、今朝もありました。

 「元気に生きるコツ」。

 示し合わせて、あるいは編集者が故意に選んだ訳でもなさそうなのに、偶然に重なるところが面白いと思うのです。

 文化面の書評欄に、牛窪恵さんが書いておられる本は『人生はあなただけのものじゃない』(トム・ラス著)です。

 著者は16歳で「余命20年」の宣告を受けた人間行動学者です。

 人は必ず死ぬのに、その日を決められると途端に焦ったり、しなくちゃならないことを考え出したりする。私もそうなると思います。

 その不安から逃れる方法は、「誰かのために生きる」ことに秘訣があると語りかけるご本だそうです。

 

 

 そこまで読んで、あれっ?さっき見たなぁ。と、一面を繰ってみました。

 「朝の詩」。作者は84歳の男性です。

 雨が降る日も、風が吹く日も、毎日ゴミ拾いをされています。

 道行く人がたずねます。

 「なんで、そんなに元気なん?」

 彼が応えます。

 「あんたも毎朝、ゴミを拾うたら元気になれる」と。

 極意です。

 誰かのために生きることは、自分を元気にします。

 床に伏して、お世話してもらうばっかりになった時はどうしよう。

 そんなときは、空行く雲とお話しようと思います。

 空が見えない時はどうしよう。

 見えるものだけがすべてではないことが分かるときではないかと、それも楽しみです。