こころあそびの記

日常に小さな感動を

迷いました

 

 

 昨日は濃密な一日でした。

 

 市民講座が公立大学杉本キャンパスであったので、天王寺を通るのなら、四天王寺に寄って行こうと早めに家を出発しました。

 四天王寺は大阪人の私には珍しいお寺ではないのですが、母の遺した「新西国三十三カ寺」の御朱印をいただくために参りました。

 新西国三十三カ所の第一番、つまり1ページ目に朱印してもらって、意気揚々と六時堂で拝んでいたら、階段下に「辻井伸行コンサート」が今夕開催という立て札に目が吸い付いてしまいました。聞けば当日券があるというではありませんか。

 こんなことあるのだろうか。行きたくても取れないチケットが、目の前にある。

 

 大学好きのいつもの勇んだ気持ちはどこへやら。ふわふわと杉本キャンパスにて席に着きました。

 辻井伸行くんは4時に当日券の売り出しが始まります。ということは、3時以降の講義を捨てなくてはなりません。

 その3時からの講義が、目玉!「落合陽一さん」なんです。

 迷うでしょう?

 私達の年齢なら誰もが知る国際ジャーナリストの落合信彦さんの息子さんです。異次元の天才の彼のお話を是非とも聞きたくて応募した市民講座でした。

 

 辻井伸行くんに走ることに決心するまで、どれほど迷ったことか。

 落合陽一さんを取らなかったのは、オンラインだったというのが大きな理由です。

 YouTubeにいつか上がると思って踏ん切りをつけたという次第です。

 

 

 ラッキーな「辻井伸行コンサート」への入場。

 空は快晴。

 四天王寺講堂前にピアノが一台設えてありました。

 ベートーベン「月光」から始まりました。辻井伸行くんの弾く音のなんと優しいことでしょう。目を閉じて彼の世界観に浸ります。彼の弾くこの曲に再会できたことに、涙よりも感謝の念でいっぱいになりました。

 圧巻は、カプースチンエチュード全8曲でした。初めて聴いたので、私がびっくりしただけです。恩師の川上昌裕先生が得意とされていると知って、年少の頃から聴いていことが拝察されました。

 聴いてみて下さい。凄いです。

 

 アンコール。

 「皆様の盛大な拍手にお応えして、本日はお月様もきれいですので、はじめに『月光』を弾きましたが、月つながりで”ドビュッシーの『月の光』を弾きます」。

 彼が生声で語りかけて下さったことに、また大感激でした。十三夜の月が五重塔に上っています。

 心に見える月でした。

 アンコール!二曲目。

 『ラ・カンパネラ』。

 横の方が「あっ!」と息を漏らされました。私も同じくうれしくてうれしくて。

 

 こんなに心満たされる時を、聖徳太子さまに与えられたことに、心からお礼を捧げたことでした。