雲一つない空も、もちろん好きですが、雲の絵があれば空の存在を知る手引きになります。
どんな仕掛けで描かれているのか。一つとして同じ日はありません。出会いは一期一会です。雲も人も。
ところで、こないだの『日曜俳句』は、由紀さおりさんがゲスト出演されていました。長年にわたって日本の童謡を歌ってこられた方だけあって、言葉の意味の解説が的確でした。
私が感心するのは、彼女が今も「夜明けのスキャット」でデビューした時と同じ声をキープされていることです。
声帯も体の一器官ですから、老化は避けられません。いかに努力されているかは、声が証人です。素晴らしいことです。
兼題は「星月夜」でした。
星を見ながら、何を思うかは人それぞれです。
いつかはあの星にと、願いを込めることもあります。
投稿句にあった「これからのことを語ろう星月夜」と詠まれた方は、そんなお気持ちだったのでしょうか。
確かに、大きな漆黒の空の広がりは、今、自分が生きていることを確認させてくれるものです。
“これからのこと”という未来ばかりでなく、過ぎ去った日々のことにも出逢えます。
司会の武井壮さんは、「父が末期に、別れた母のことを話してくれて、そうだったんだと思ったことあった」とコメントされたので、私も思い出したことがありました。
不孝者の私が、父の末期に足繁く通った枕元で、パートナーの方が「ねぇ、(この娘のこと)かわいいでしょ」と何度訊いてくれても、決して首をタテに振ることはありませんでした。
父の真意は不明ですが、想像するに、親としての流儀を貫いたのだと考えています。
昔、教わったことがあります。それは、たとえ両親が別れても、子供は父親と母親をフィフティー・フィフティーで見るもんだと。
親から見た子供も3人いれば同じ愛情で育むことが、親の流儀です。
父は最後まで、ボケていなかった。そのことを近頃になって、思い出すのです。