いい年して、朝刊の占い欄を見てしまいます。「今日の誕生月占い」は、「周囲に声をかけ協力依頼を」でした。
にもかかわらずというか、その通りだったと云うべきか、今日は幸運日でした。
やることなすことすべてに繋がりがある、珍しい体験をしました。
お散歩に誘ってくれた友人と二人、中山観音駅から山本まで歩きました。
歩きながら、彼女が次から次へと、積もる話をしてくれます。
「この花、見て!」と、旅先で見つけたと、スマホ画面を見せてくれます。
植物に疎い私は、もちろん知らない花でした。「葉っぱはオモトに似ているかな」と言ったところ、
「そう、『マユハケオモト』っていうの」。
確かに、刷毛のように白くて繊細な花弁の先端だけオレンジ色に染まった花でした。
もっとよく見ようと画面を覗き込もうとしたとき、
「あれっ、ここに咲いてる!」と最初に驚いたのは彼女でした。私にスマホをかざしながら、自分の視線を地上に落としたら、そこに咲いていたのです。
「キャー、そんなことある?」と、二人で大騒ぎ。
友人が興奮して話してくれた花が、こんなところにちょこんと置かれてあったのです。
私に見せたくてウズウズしていた花を、見せた瞬間に、「ここに居るよ!」と花の方から話しかけてくるなんて。
こんなことあるのですね。
そこで彼女が、
「これで、もし森川さん宅にあったらびっくりやね。いや、あそこは珍しい花があるからひょっとしたら、本当にあるかも・・」と、付け加えたので、私もすっかりその気になって、今から目指す、森川宅が楽しみになってきました。
お昼どきの訪問を外すために、植物園でお茶をしました。
NHKドラマ『プリズム』で小物として使われたテラリウムに、あやかって?そのティールームでも「苔パフェ」なるものが提供されていました。
「少々お時間かかります」ということわり文句はこのことだったのかと、テーブルに置かれた手の込んだ作品に見とれました。
植物のテラリウムでも大変なのに、アイスクリームやわらび餅、スポンジケーキに寒天、あんこなど、配置よく納められていて、しかも美味しい!
初めての苔パフェ体験でした。
さてさて、件の「マユハケオモト」には会えるのでしょうか。
お天気は上々。
二人で記憶を辿って彼の家に向かいました。
坂道を曲がって、左手に川が流れる林が見えた所にお家がありました。
「ピンポーン!」
「はい」
やったぁ。いらっしゃった。子供のピンポーン遊びみたいに嬉しくなりました。
森川植物園と二人で名付けたお庭。森川さんの先導で、勝手知ったように付いていくと、今度は、私が見つけました!足元に、嘘みたいだけど、ほんとに「マユハケオモト」が一輪、咲きかけていたのです。
こんなことってあります?
予想が的中したのです。
その驚きは、表現のしようがありません。神様の仕業としか思えませんでした。
さて、植物園のあちらこちらに咲いていたのは「白いホトトギス」です。林間のほの暗い中に、小さな白色が自己主張しています。
「いゃー、ほっといたら種が飛んで・・」
いやいや、そんな簡単には咲きません。
野草は、自分が生きる場所を知っている。もしも、そこじゃないと思えば潔く諦める。
人間は、しがらみがあってそう簡単にはいかないから無理をします。
その無理が、歪みを生みます。
生きてやる、ではなくて、生かされている。
森川植物園は、大切なことを教えてくれるところでした。
森川さんがお元気でよかったねと、お土産にもらった白色ホトトギスを手に帰途につきました。
満たされた一日でした。