こころあそびの記

日常に小さな感動を

掬ってみたら

 

 仕事帰りに転倒して、あ~あ、やっちゃったと情けなくなりました。

 さいわい、掌の傷くらいで済んだので、よしとしよう。大丈夫、大丈夫。

 

 気分転換に昨晩の『silent』の録画を観ました。

 川口春奈さんが着てらっしゃるニットセーターがどれも素敵です。手編みのざっくりセーターも、ミックス毛糸のぼかした色合いも。

 なんだ、おばあさんはそんなところ観てるんかい!って言われそうだから、ほんとうのことを告白しましょう。

 

 八年間、たった一人の音信不通になった彼のことを心配し続けるって奇跡です。

 『silent』は、そのおとぎ話がドラマに仕立てられています。

 ”サイレント“な画面に文字が流れます。

 静かで、言葉数も少ないので、一つ一つ心に染み渡ります。

 話し言葉だとケンカになりそうなのに、ゆっくりゆっくり時間が経過するから観ている方にも余裕が生まれます。

 忘れていた大切なものを思い出せるドラマです。

 

 

 ところで、『掬えば、手には-If you reach for it, you can scoop it up-』という若者の本が私に買ってぇと訴えてきたので、しゃあないなぁ~と買ってきて、昨日、読みました。

 作者は大阪出身の瀬尾まいこさん。本屋大賞を受賞されている有望株です。

 私たちの青春時代と何ら変わらない今の学生事情に安心したりして楽しく読ませてもらいました。

 登場人物はそれぞれの事情で、自分の心に触れられたくない部分を持っている設定です。

 私も、その最たる一人ですからよく分かります。

 しかし、ここまで生きてこられたのは、そうとはいっても、たくさんの人に許してもらったからだと強く感じています。

 人それぞれに、自分の置かれた場所への思いは異なります。

 でも、自分に与えられた課題を自分なりに解くことが、この世の勉強のように思うのです。

 

 この本の最後に、高校生の時につき合ってた彼とのことで傷ついて立ち上がれなくなってる女の子に伝言がもたらされます。

 「笠井君、今でも冬香のこと思ってる」と。

 それをラストにもってくるなんてシャレてる。この女の子が暗闇から立ち直れるきっかけになってくれたらと、涙しました。

 

 

 今日は、これに似た話が多い日でした。

 

 『心旅』のお手紙では、「同窓会で再会した昔の彼が『案外変わってないんだな』と言ってくれた」という部分を火野正平さんが嬉しそうに読んで下さってました。

 お手紙に書かれたということは、彼女の弾んだ心を推して知るべしです。

 青春時代の恋は、長い人生を温め続けてくれます。

 

 

 そして、夕方にも。

 大好きな彼女から、結婚できないと伝えられて、男の子が号泣したという話が伝わってきました。

 なんといって泣いたか。「絶対後悔させてやる!」。

 いいなぁ。こんな男の子大好き!

 しわくちゃになってもリアルに思い出せるあの日のことが、細っていく道を最後まで照らしてくれます。

 ありがとう。みんな。