こころあそびの記

日常に小さな感動を

緑の葉っぱと赤い実と

 

 クリスマスイブ。

 寒さの中で、心を温めてくれるカラーは赤と緑の強烈な配色です。

 千両も万両も南天も、揃いも揃ってこの二色で、これから続く寒い日を勇気づけてくれます。

 

 

 大きなタラヨウの木に真っ赤な実が鈴なりでした。木に疎い私にとっては、これだけ派手に実ってくれて初めて知る存在です。

 この木は葉っぱの裏に傷つけると残るところから、手紙の木と呼ばれます。私たちが使う「葉書」という名前は、前島密がこの木から思いついたとか。へぇそうなんだ。

 

 朝の散歩は、いろんなことを教えてくれます。

 

 

 今朝は、山手の方を歩きました。

 このあたりは植木屋さんが多く、たくさんの木々が植わっていますから、見て回るのも楽しいことです。

 

 

 あるお宅の前で、山茶花を見ていたら、ご婦人が出て来られました。

 「おはようございます」と挨拶を交わしていたら、続いて出て来られたお嫁さんと思われる方に促されて、デイサービスのお迎えの車に乗り込んで行かれました。

 私がまだ、山茶花のところでうろついているのを怪訝に思われたのか、そのお嫁さんが話しかけてこられたので尋ねてみました。

 「これ山茶花ですか?」

 「そうですが、もうほとんど終わりでしょう」

 確かに、写真に撮れそうな花が見あたりません。

 「その横が椿ですよ。花はまだまだ先ですね」

 その話から、椿のチャドクガ談義になりました。

 お茶の葉っぱにつく虫だから「チャドクガ」と教えてもらって納得。

 しかし、庭の照葉樹につくなら、山でも同じように喰われているはずなのに、山は丸裸になりません。自然の恵み続ける力に畏敬の念を思います。

 

 「これだけ木が植わっているから、野鳥がいっぱい来ますね」

 「ウグイスは住み着いてますから、春は鳴き始めから”ホーホケキョ“って鳴くんですよ」

 「へえ~」

 「ご近所の方もうちのウグイスと呼んでくださいますよ」

 春になったら、聴きに来ようっと。

 

 いかにも自然の中に住まっておられるお話の数々は、傾聴の価値のあるものばかりでした。

 

 お屋敷の前に大きな木がありまして、これにも赤い実がなっていました。

 「これはなんの木ですか?」

 「モチノキ。モチモチの木じゃないけどね」

 

 

 久しぶりに思い出した『モチモチの木』。

 斎藤隆介作、滝平二郎絵の作品は、表紙の版画絵が直ぐに思い浮かびます。そして、最後には夢のように明るく輝くモチノキが暗い夜空に浮かび上がるシーンが印象的な絵本です。

 作者の子どもたちへのメッセージが素敵です。

 「自分で自分を弱虫だなんて決めつけるな。優しささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやれるもんだ」。

 

 勇気の出所を考えさせられる散歩でした。