こころあそびの記

日常に小さな感動を

あと四つ寝たらお正月

 

 どんな年の瀬であっても、新しい年が来るという高揚感は人々に元気をもたらすもののようです。

 子供の頃の年末といえば、思い出されるのは家族で買い出しという恒例行事でした。

 百貨店とか、黒門市場とか。

 何のために、わざわざ大勢の詰めかける所に出て行くのか。もちろん、お正月のご馳走を求めてなのですが、それなら、近場でもいいはずです。

 その心は、正月気分を味わうために行く、というのが親の言い分でした。現況とは違って、昔は、大声が飛び交う中の押すな押すなの人ごみです。今頃になって、その光景を懐かしむのですから、やっぱり私も親の子です。

 コロナ禍で、かけ声も控え目ですが、それでも人は人から元気をもらえることが、よ~く分かる、年の瀬です。

 

 

 さて、今日は美容院に行ってきました。美容師さんと「手相」の話になりました。

 私は、手相の線というものがありませんでした。天満のガード下の占い師に「あんたは手相がよくない」といわれてからずっと、気にしてきました。でも、この年になって人並みにシワが出現したのですが、うれしさ半分ながら、時々、このシワの意味を考えてしまいます。

 私なりに私に与えられた苦労を越えてきたのかなと、啄木を真似てじっと手を見てしまうことがあります。

 

 そんなことで、美容室の椅子に座りながら、つい、暇つぶしにそんなことを思い出して手を見ていたら、

 「手相ですか?私は小さい時からシワだらけで、それが嫌でした」と、美容師さんが話しかけてこられました。

 「小さいときから、美容師になりたいと思ってたんですか?」と尋ねると、「そうなんです。小さいときから、髪の毛を触るのが好きでした。自転車の後ろに乗せられてるときも、前から流れてくる長い髪を触ったりしてました」。

 

 子どもの頃から、なりたい職業が決まっているなんて、うらやましいことです。

 

 

 そんな人は、稀か思っていたら、今朝の「子ども電話相談」にも、そんな子が登場してました。

 「僕は皇帝ペンギンの研究をしたいのですが、どこの大学に行ったらいいですか?できることなら、南極探検隊に入って研究がしたい。」

 しっかりした質問をしたのは小学六年生の男の子でした。

 先生の答えは、「今から中学、高校、大学とあって、その先、大学院に進んで論文書いて博士になるんだよ。今すべきことは、今しないといけない勉強をしっかりして、身体を鍛えて、ご飯をしっかり食べることだよ。」と。

 

 このように幼い時から、何々になりたいと照準を決めている子供がいる。一方では、べつに、特に、と浮遊する大人もいます。

 目標まっしぐらの人と無目的に見える生き方。

 

 どっちがいいか。なんてないことを、こないだ読んだ、九十歳の精神科の先生が書かれた本から感じました。

 その本は、五十代の人との対談形式でした。九十歳の方のお話は、五十代の方には理解及ばずスルーされてるように感じる場面が幾たびかありました。

 五十代では、まだ目標がありますし、子育てや、仕事など、しなくてはならないことがあります。また、それだけの精神力と体力があるから叶うことです。

 片や、九十代になれば、精神はすべてから解放されている反面、体力がありません。

 かみ合わないところは、そのせいではないかと思いました。

 ほんとうのところは、その年になってみなければわからないということです。

 

 

 「子どもラジオ相談」の先生の答えが的を得ていたのは、人生においては、今、今、今。その時の点の積み重ねこそが大切と分かっておいでだったからだと思います。。

 そして、目の前に現れる今も、全ての人にちがった課題でやってきますから、誰かに相談して解決するものでもありません。自分で全力投球するしかありません。

 だから、「今でしょ!」は大正解。そして、すんでしまえば愉快この上なしです。

 

 もう四つ寝るとお正月です。

 新しい年も、一日一日積み重ねてまいりましょう。