2025年開催予定の関西万博のパビリオン建設費の抑制ニュースで、ひさしぶりに福岡伸一先生のお名前を伺いました。
彼が一つのパビリオンの主でいらっしゃることを知らなかったなんて、ファンとしては誠にお恥ずかしい次第です。
万博テーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に合わせて、8人の今をときめくリーダーが、パビリオンを受け持たれています。
その中で福岡伸一先生のパビリオンテーマは「いのちを知る~いのちの あり方について考える~」です。
福岡伸一先生が常に発信されているのは、『動的平衡』です。ご本の帯に書かれている要約は、「生命とは、絶え間ない流れの中にある動的なものである」ということです。
漢方に携わる者にとって、こんな頼りになる理論はありません。しかも、最先端の科学者が力を込めて放って下さっているのです。
頭がわるいので、福岡先生の説の半分も理解できていませんが、初めて『動的平衡』を読んだとき、これは、漢方が昔から唱えていることではないかと、最新科学との接点をうれしく思ったことでした。
漢方は、日本あった和法に中国伝来のもの、さらにはペルシャあたりからシルクロードを通ってもたされた医学にも影響を受けています。
だから、漢方は壮大な思想といえます。
ところで、「動的平衡」のどんなところが、福岡先生との接点と私が考えているかというと。
漢方に、木・火・土・金・水と五行に集約整理して考える方法があります。
一つのエレメントが別のエレメントに促進、助長的に働けば「相生」。
一つのエレメントが別のエレメントに抑制的に働くときは「相克」といいます。
たとえば、木が燃えて火になる。これが「相生」。
ストレスを感じた肝臓(木)が、胃腸(土)を傷めるのを「相克」といいます。
五行の各行が助け合ったり、ストップをかけ合いながら、身体全体として健全に機能するようになっています。
漢方の要諦で一番大切なこと、それは「中庸」です。
喧嘩して、誰かが威張り散らすというのは、バランスを崩します。
そんなんしたらあかんよ!と諫める機能が働くところに生命の不思議があります。
体の中の調和を図ってくれている機能。それが、「動的平衡」だと思って、福岡先生のお考えに賛同しているわけです。
今日、健康に過ごせているのは、数えきれない見えない力のおかげだと、漢方をかじればわかります。
体内の「動的平衡」を維持してくれているとてつもない大きな力と言い換えることも可能です。
だから、福岡先生の「動的平衡」と漢方を知った人は、いのちに対する考え方を一段階アップできるように思うのですが、いかがでしょう。
そういえば、先生の最近のお言葉にこんなのがありました。
「動的平衡は、準備された心にのみ降り立つ」
はてさて、心の準備はできていますか?