昭和3年、辰年生まれのおばあちゃんと、店頭の服薬指導を逸脱して、いっぱいお話しました。
おん年、95歳。
母も生きていれば同じ年齢です。話せば話すほど、この老女の元気さに母と同じものを感じました。
なにせ、勢いがあります。
二週間ほど前に、コタツ台から転落して、足を打撲。真っ黒に内出血したのに痛くもかゆくもなく、いつも通り熟睡できたそうです。
「医者に行っても、貼り薬だけやんか。行くことなんかあらへん」。
ごもっともです。体は自分で治すものです。忘れてはならない正論です。
昨夕、空を見上げたら、雲一つありません。当分望めない絶好のお天気。
行くしかない!とマジックアワーに時間を合わせて、空を見に行ってきました。
『敦煌』の十章の書き出しに、
「太陽が完全に砂漠の果てに沈んでしまうと、(略)金泥を混じえた眩しい赤さから次第に橙色となり、朱色となり、最後は色調を薄くして紫色に変わった」と、書かれてありました。
この作品は、私がまだ小学生のころに発表されたものですから、当然、マジックアワーなんて言葉は存在しなかったらはず。だからこそ生きる描写だったことでしょう。
高台から、刻々と変わってゆく空の色の変化を宇宙の一員として堪能したことでした。
しばらくして、目がなれてくると、まず初めに一番星の金星の輝きが、遠い空に張り付けたように見え出しました。
双眼鏡でその辺りを探していたら、空の暗転に合わせて、金星の右に双子座が、左に赤い火星が姿を現し、ドラマも最高潮に近づきます。
私の星空観察のお供は、「国立天文台の今夜の星空」です。
その星座板では、昨日は“スピカ”が月に重なるように記されていました。でも、お月様が明るくて見えません。
そんなときには双眼鏡。覗けば、そこにありました!月の下の方から青白い星が静かな光を送ってきていました。
いつか、お星様に帰るとしたら、あなたはどのお星様に帰りたいですか?
私は、スピカ。あの静かで奥ゆかしく小さな光を放つ青色の星に、なぜか心惹かれるのです。