
夏至のあと、三回目の庚(金)の日がやってきました。その日を初伏。その後の中伏から立秋後、8月14日の末伏まで、一年で一番暑い日々がやってきました。
暑い暑い!と警報まで出して大騒ぎしている現代の様子を見て、昔の人は何と思うでしょう。私たちだけが暑いわけではなくて、大昔からこの時期は暑かったのに。
どちらも、炎暑が売りです。

『光る君へ』の影響ではないのですが、仏壇の「興福薫荷」が残り少なくなってきたので、興福寺へお香を買いに行くことにしました。
あちらこちらでお香を買ってくるのですが、「興福薫荷」の薫りが気に入っています。
藤原家とは何の縁もありませんのに、へんですね。朝、一本、燻らすことで、元気に一日をスタートできる気がするのです。

いつものように、JR大和路快速で奈良へ。
電車の中でふと、”ささやきの小径“をひさしぶりに歩いてみたくなったので、奈良駅から市内循環バスに飛び乗りました。
バス停から高畑町の閑静な住宅街を歩いていると、「入江泰吉記念奈良市写真美術館」の貼り紙が目に止まりました。
入江泰吉ファンの私ですのに、今日までご縁のなかった写真館。やっとのことで、来れました。

大阪大空襲で焼け出され、奈良に戻った入江泰吉が奈良を撮り続けてくださったから、祖母たちが見たであろう景色を、私たちも見ることができることは、ありがたいことです。
館内の解説で印象深かったのは、法隆寺壁画です。
入江泰吉は、火災の前年まで通ってスナップ写真を撮っていたようですが、本格的な撮影に入れないうちに、あの大火災が壁画を灰燼にしてしまったのです。
彼の落胆が聞こえてきます。
仕事はやれる時に無理してもやらねばならない。絶対そう思ったであろうことは、その後の仕事量で分かります。
今日できることを明日に延ばすな。
胸に刻んだ言葉です。