こころあそびの記

日常に小さな感動を

センターパーツ

 

 お盆が終われば、夏休みもあと少し。

 お休み中はお弁当作りがなかったとはいえ、毎日お昼ご飯は必要でした。その気遣いが終わるという思いが気を緩ませたのか、今日は孫たちをファミリーレストランへ連れて行ってしまいました。

 

 外食した帰り道、高校一年生の男の孫を一人乗せて運転しながら、デザートに何か買ってあげようかと話しかけたら、いつものように返事がありません。

 この子は、今一番難しいお年頃。

 そんなとき、ボソボソと話し始めたのが、髪のことでした。成長盛りの髪は元気もりもりで、毎朝、洗面所で格闘しているのは知っていました。

 そうか。彼は、デザートよりも、散髪屋に連れて行ってほしいと言いたいようでした。

 

 

 いつもは父親と千円カットに行ってるけど、それじゃ満足できない年齢になったみたいです。親に言えない悩みを、婆さんに訴えてくれたことが嬉しくてついつい「お友達はどこで切ってはるの?」と口火を切ってしまったのです。

 「美容院が多い」なんて思いも寄らない答えが返ってきたもので、大衆理容に向かっていた車の進行方向を変更して、知った美容室に連れて行ってやりました。

 

 美容室に彼を残して、家に帰って娘に報告。

 「どこで切っても同じと思ってくれたらいいけど・・美容室がいいと言ったらどうする?」と、娘。

 娘の予言は的中。

 帰ってきた孫は「全然違う」というではありませんか。「時間かけて丁寧に切ってくれた」と、センターパーツに調えてもらって、満足そう。娘の危惧通り、美容室派になってしまったのです。

 美容室のカット料金がなぜ高額なのかと訊いてきたので、それはね、千円カットの髪の毛をセットするときのうっとうしさと、気に入った髪型を鏡の中に映す気持ちはどう違う?

 「確かに」と孫。

 その心の余裕をお金で買っているともいえるかな。

 そういう私は、未だに生きたお金の使い方が分かってないのに、生意気な講釈を垂れてしまいました。