こころあそびの記

日常に小さな感動を

小鳥

 

 オクラは下から花が咲いた順に収穫して、そこから上の方に栄養が行くように葉をもぎ取ります。今、どの畑のオクラも背が高くなって、もうすぐシーズンが終わりそうです。

 

 

 メリーちゃんのお母さんとひさしぶりに言葉を交わして、ジャンボナスをもらってしまいました。

 その傍らに「迷子の小鳥探しています」の貼り紙がありました。

 小鳥の写真は、珍しいバイドブルーのセキセイインコでした。

 逃げ出した犬を探すのも大変ですが、保健所へ通報して下さる方があればなんとか戻ってくるものです。

 しかし、小さくて非力な小鳥が大空に放たれたなら、それは難しいことでしょう。

 メリーちゃんのお母さんが仰るには、一度、このあたりの道端で見かけた人がいたようです。

 道に舞い降りている時点で、弱っていたと推測できますから、飼い主さんの無念さをお察しいたします。

 

 

 ペットという家族はありがたい存在です。まず、ペットが居ると居ないとでは、会話の数が違います。

 目が合う度に「かわいいね」と声をかけたくなります。相手が、なんやねんと、体を起こしてきたら、なでなでします。

 それが一日の生活に幾度となしに組み込まれることは、最高の癒やしなのです。

 賢いインコが、飼い主さんの元に戻ってきますように、一縷の望みを持ってお祈りしたことです。

 

 

 小鳥といえば、『光る君へ』ですね。

 前回のラストに、道長が贈った扇の絵柄に、視聴者が沸いたと聞いています。

 幼いまひろが道長と出会ったのは、まひろが逃げ出した小鳥を探していた時でした。そのシーンを着物の色柄まで忠実に絵師に依頼した道長の気持ちに胸が熱くなりました。

 それは、愛がなければ、なんて緩い思いではない、深い愛情を感じたことでした。

 『源氏物語』の光源氏は、これに似た細やかな愛情を多数の女性に気遣う人として描かれていますが、その源となったのは、道長のこういう思い遣りだったのかもしれません。

 

 

 また、昨日の放送分では、まひろが幼かった自分を回想するシーンがありました。

 「あの人と一緒に過ごしていたなら・・」という台詞は、女性なら一度は考えることですから、ここに大石さんの技が見て取れました。

 「物語になってしまえばそれも彼方」

 紫式部は孤独感の強い人だったから想像力を育てることができた。なんて、現代人が判断するのはどうでしょう。

 大石さんは、まひろをもっと身近に、もっと私たちに近い感覚を持つ女性として描くつもりなのではと思ってしまいます。

 

 最後に。

 雀が手摺りに止まって逃げていく。

 その様子がまひろの筆に力を与えます。

 「大切に飼っていたスズメの子をいぬきが逃がしてしまった」

 若紫。後の紫の上との出会いは、小鳥から始まるんですね。