こころあそびの記

日常に小さな感動を

異次元の二人

 

 昨日の夕方、虹が架かりました。これほど人の心を空っぽにさせるものはありません。何か考えごとをしていたはずなのに、すべて忘れて虹を追いかけました。

 消えてしまわないうちに・・

 

 

 目覚ましを止めて、たまたま見たインスタに西畠清順さんの長い長いコメントを見つけました。

 彼は文章の書き手だから、いつも他の人よりは長いのですが、今朝のはスペシャルバージョンでした。

 「このところ終活を考えている」から始まれば、なんのこと?って思いますよね。

 それは、お子さんに何を譲るべきかという話でした。

 

 「 植物に尋ねたら、『僕らはすべて子孫のために生きている』と答えが返ってきた。そこで、この夏は、妻と娘と息子と一緒に、1000万円の旅をしてきた。

 今、僕が子どもにしてあげられることは「世界は多様で広い」ことを旅を通して体験させることだけと信じて。

 二週間かけて、ガラパゴス島でイグアナと泳いだり、4000mにあるアンデス高地を馬で越えたり、ピラニアのいるアマゾン川を手漕ぎボートで下ったりした。

 この十年、俺が世界を駆け回っているうちに、娘は10歳になってしまった。この先、いつまで一緒に旅ができるだろう。

 それに気がついた今回の旅は、俺の人生で最も愛おしく意味のあるお金の使い方だった 」

 

 この投稿に、たくさんの“いいね”と温かいコメントが寄せられていました。

 好き放題のパパかと思いきや、我が子に対してこれほど真剣な眼差しを向けておられたのです。その愛に感激した朝でした。

 

 

 仕事がおやすみで暇していた娘と、ランチに出かけました。

 あてにしていたお店が定休日だったので、うろうろ。前に入ったことのある和食のお店は、まだ暖簾が掛かっていません。

 そこは、年寄りの恥知らず。引き戸を少し開けたら、「どうぞ、良かったら座って待ってて下さい」と、ありがたい応対です。

 お言葉に甘えて座ったが最後、そのご主人のお話しが止まりません。

 そうそう。思い出しました。お話し好きであったこと。

 

 

 この方も市井の偉人さんです。

 なにがすごいって、たった一人で25人くらい入る和食の店を、29年間切り盛りされてきました。これは、偏に、誰にも負けない働き方だったと思われます。

 楽しそうにお喋りしながら、それ以上に楽しそうに手を動かして、美しく盛り付けていく手際に見とれるばかりでした。

 写真の「ミニお重」(紙粘土製)も彼の手作りと聞けば、天性の和食職人であることが分かろうというものです。

 話の中で、おじいちゃんが四国の宮大工だったと知りました。器用なはずです。

 「宮大工の中でも、四国の宮大工が一番なんです」と、胸を張る姿に誇りが滲んでいました。

 

 半日の間に、二人の偉人に会ってしまいました。

 西畠清順さんではありませんが、「広い世界にはレベルが違う人がいる」ことを教えられたことです。

 お二人とも限界まで好きなことを追求されています。そして、その姿を見た人々がそこから勇気をもらうという循環がこの世を成り立たせているわけで、人間とは”人の間と書く“とはよく考えられたことだと、今さらながら感心することしきりです。