こころあそびの記

日常に小さな感動を

明石海峡大橋

 

 今朝のプロジェクトXは「明石海峡大橋建設秘話」でした。ついこの間見てきたばかりの大橋ですから感動も一入でした。

 私はどういうわけかチームで何かを成し遂げるという話に、涙腺が緩む性分です。

 自身自身は孤独なランナーが性に合うというのにおかしなことです。

 思い当たるのは、曾祖父やその息子が鉄道省国鉄時代に、中央線を敷き、磐越西線を敷き、丹南トンネルを掘ったという話を、聞きかじったからかもしれません。

 橋を架ける。トンネルを貫通させる。男としてこれほどやりがいのある仕事はないように思えます。

 丹南トンネルの大工事は『闇を裂く道』(吉村昭著)に、詳しくレポートされています。曾祖父が登場する場面はほんの数ページながら、いつも私を励ましてくれます。

 子や孫を勇気づけるものはいろいろありましょうが、この大仕事を私のおじいさんが成し遂げたんだ。その気持ちが、後世に生きる者への何よりのプレゼントになることはまちがいありません。

 

 

 明石海峡大橋の着工は1988年。開通は1998年。当初の計画どおりに10年で完成させた当時、世界一長い吊り橋でした。

 この工期は、まさにうちの子どもたちが小学生であった時期です。

 週末には、垂水へ行って子どもたちと橋の様子を見たものですが、遠目には何ら変わりない時期が長く続きました。でも、今朝のプロジェクトXを観て、そのわけが分かりました。

 本州側の神戸市長原口忠次郎さんの嘆願、淡路側の住民の悲願、神戸製鋼所の皆さんの汗と努力。

 立ち止まることの長かった工事がようやく動きだしたと傍目に感じられたのは、橋の七色の点灯でした。

 「赤くなったよ」「紫色になったよ」

 その明かりを見るのが、あの頃の楽しみでした。

 そして、子どもたちは、夏休みの絵の宿題に完成した大橋を描いて、中学にあがっていきました。

 明石海峡大橋は、うちの子どもと一緒に育った橋です。

 難工事に携わって下さったすべての人々に心から感謝申し上げます。きっと皆様のご苦労が、子や孫の心に明かりを灯し続けると断言します。

 そうやって、目にみえない熱量を伝播させることが、生きる力を繋ぐことになると確信しています。