こころあそびの記

日常に小さな感動を

文化の日

 

 人気の伊藤若冲展が嵐山の福田美術館で開催中です。

 この時期の嵐山はいつでも行ける関西人にとっては近寄りたくない場所ではあるのですが、若冲展なら行ってみようかと重い腰を上げて友達を誘ってみました。

 そうしたらなんと、豊中の西福寺で一年に一度の公開が11/3(文化の日)にあるという耳寄りな情報を入手することができました。

 雨天中止とのことでしたので、雨が上がることを祈って、今日を迎えたことです。

 

 ここでも、若冲人気は凄くて、開始一時間前から行列ができました。それでも、この情報を知る人は限られていますから、ゆっくりと拝見することができたことは幸甚でした。

 

 この切手にもなった群鶏図は若冲が75歳の作品だといいます。きのう、馬琴や北斎が70歳を過ぎても大作に挑み続けたことを知ったばかりの私は、二日続けて老境を生きることへのエールを贈られたようで嬉しく思いました。

 若冲が一ヶ月間、ここに座り込んで描き通したパワーが堂内に残っているようで、300年の隔たりがあることを忘れさせる空間でした。

 

 

 満足して寺門を出たところで、お饅頭屋さんのおじさんがお店の場所を知らせるパンフレットを配っておられました。

 その誘導に従って道を辿っていましたら、西福寺の横に位置するお寺に迷い込みました。

 「おいでおいで」と手招きして下さったのは、この養照寺の総代さんでした。

 なんと、この地域には3つもお寺があって、ともに西本願寺派なんだそうです。

 

 

 91歳の総代さんに案内されたのは300年を経た「法蔵」でした。八角形に組み込まれた引き出しにぎっしりとお経本が入っています。

 ご親切に引き出しを開けて見せてくださる優しいお心は仏心そのものでありました。

 彼は、今年の夏に脳梗塞を患ったのですが、後遺症もなく10日で退院してきたそうです。

 私は、その笑顔とお心にこそお元気の秘密があることを確信できました。病気に挑もうとか、闘おうとするのではなく、すべてはおまかせという気持ちが守護される資格なのだとあらためて思い知りました。

 

 

 さて、本堂に掲げてあった「恩徳讃」を見て、友達が「これ!おばあちゃんが歌ってました」と涙声。

 すかさず、お寺の奥様がオルガンでメロディーを弾いてくださり、彼女は最愛のおばあちゃんと再開を果たしたというシーンは、誰が予想できたでしょう。

 お寺参りしたからではなくて、私たちはいつも誰かが見守ってくれていることを再確認できた幸せな一日になりました。

 

 

 Googleマップを見ながら、駅への道を迷いながら歩いていましたら、友だちが、「あっ!この道知ってる」と突然言い出しました。 

 ご主人と通った町中華屋さんの記憶が蘇ったみたいです。

 そのお店に連れて行ってもらって彼女とお昼をご一緒しました。きっとその席に、ご主人も同席もされていましたよね。