昨夕の帰り道、薄雲がかかって光が散乱している上弦の月を少し残念に思って振り返りましたら、木星が東の空から上ってくるところでした。
この星は、私が夢の中にいる間に大空を翔け上がって、目覚める頃には天頂に輝きます。
自転公転など知らなかった昔の人ならこんな星の動きを不思議と捉えたのではないでしょうか。そんな時代に生きてみたかった。
さて、この幼虫は、1ヶ月ほど前に玄関先を這っていたオオスカシバの子どもです。右手の模様がある方がお尻だそうです。
なぜそんなことを知っているかといえば、この子がうちの庭のクチナシに代々住みついてくれているからです。
ほかに、シジミ蝶やヒョウモン蝶も住んでます。
この子たちを脅かすものは小鳥だけかと思ったら、外敵はそれだけではなくて、彼らは必死で生きていることを今朝のNHK「子ども科学電話相談」で、回答者の昆虫学者、小松貴先生が教えてくださいました。
質問者は小学五年の少年でした。
「クロアゲハチョウを飼っていますが、寄生蜂にやられます。寄生されない方法ってありますか?」
「残念だけど、防げないというのが答えです」
寄生蜂は、蝶が卵を産んだら、すかさず、かぎつけてやってきて、自分の卵を相手の卵、幼虫、さなぎに産みつけます。
飼っていたアゲハチョウが幼虫になってやれやれと思っていたら、ある日、体の中が空洞化して死を迎えるという光景は残酷以外の何ものでもありません。
しかし、その能力は生きのびるためにどなたかが計画して、その生物に付与したものです。その能力を駆使して厳しい世界を一生懸命生きているのは、人間だけではないのです。生きとし生けるすべての生物は、自分が持てる力で生きていかなくてはならないようにできているのがこの世です。
不倶戴天の敵。この四字熟語から「天敵」という言葉ができたと、小松先生に教えてもらったことも大きなっ収穫でした。
さて、なぜ、カーラジオの質疑応答に耳をそばだてたかというと、「これはまさに”冬虫夏草“だ」と、思ったからです。
漢方薬に使われる「冬虫夏草」も、菌類に侵されてできた産物を、人間様がありがたく頂戴している代物です。
蝉の幼虫にとりついた菌が、対象となる蝉を膜で包み、その体から栄養を奪って大きく育ち、宿主の方は死んでしまいます。そのシステムは寄生蜂と同じです。
こんなことを知れば、来春からアゲハチョウの見方が変わりそう。
私たちが生きているのは、たまたま運が良かったからであって、それは奇跡であると心からそう思えたら、もう少しだけ生きることに謙虚になれるかもしれないなぁと自分に言い聞かせたことです。