こころあそびの記

日常に小さな感動を

休日の朝

 

 紅葉が進んで耐えきれなくなった葉っぱがはらはらと散っていきます。生きて生きて、風のせいでもなく静かに潔く散るさまは美しいものです。

 年長者が晩秋の落ち着きを好ましく思うのは、同じように生きた年月があるからなのかもしれません。

 

 

 お弁当作りのない休日の朝、コーヒーを淹れて、録画『こころ旅』の”蔵出しスペシャル“をゆっくり観ました。

 元気に自転車をこぐ正平さんが亡くなってしまったなんて信じられない映像です。つくづく、自然を愛し、女性をリスペクトする彼の本領が発揮された番組だったことを感じ入ります。

 これをほどの超大作を残したことで、彼に思い残すことはなかったものと想像します。生ききることを体現してくださったことに、あらためて感謝申し上げます。

 

 

 年末になると、訃報が多くなるのはどうしてでしょう。

 先日も元横綱で、大相撲解説者の北の富士さんが82歳でお亡くなりになりました。

 あの語り口を聞いて、虜にならない女性はいないのではないでしょうか。もう舞の海さんとの掛け合いが聞けないなんてショック過ぎます。

 かっこいい漢でした。

 最後まで生ききったと評価されるお一人であることに異論を挟む余地はありません。

 

 

 ところで、お相撲話をもう一つ。先週の土曜日の解説席に座られた元大関貴景勝さんをご覧になった向きも多かったようで、友人からは絶賛のメールが届きました。

 現役時代は、いつも、憮然とした態度で土俵に上がられたので、応援団にはなれなかった私ですが、それも、怪我や体調不良を考えれば仕方ないところではあったのですが。

 ところが、先日、テレビに映った彼は別人でした。引退して肩の重い荷物を下ろせたのでしょう。若者らしい爽やかさを取り戻したお顔は、あの美しいお母さまを彷彿とさせるものでした。また、話術にも長けておられたことで、今後の活躍を予感させられました。

 厳しい角界の実際を知ってか知らずか、角界を目指す若者が続きます。

 北の富士さんが掬い取ったような相撲巧者を探して、これからもテレビ観戦を楽しみたいと思っています。