こころあそびの記

日常に小さな感動を

神農祭

 

 「神農祭」に行ってきました。

 大阪メトロ北浜駅から歩いていくと、なにやら神社とは反対側に列が誘導されています。

 そうなんです。大行列に並んで、ようやく狭い境内に辿り着けたというわけです。

 「すごい人ですね」と係員の方に聞いてみたら、

 「これでも今年はましですよ。去年なんかコロナ明けと、オリックス、タイガースのパレードと重なったもんで、たいへんでした」

 大阪は、十日恵比寿で始まり、神農祭で終わると云われます。今年最後のお祭りにたくさんの人が参加されていたことがうれしく思われました。

 

 

 その意味を知ってから、注連柱(しめばしら)に目がいくようになりました。

 「やまいをおさむるみちをさだめたまひ みなそのみたまのふゆをかがふれり」

 日本書紀に残る”みたまのふゆ“に、ありがたさを感じてしまうのです。

 もともと、道修町は江戸時代中期から薬屋が集まる町でしたから、薬の神様である神農さんを祀っていました。そこに、少彦名命を京都の「五条天神宮」から分祀して今の形になったのは、1780年のことだそうです。

 

 

 その頃のコレラの流行に「虎頭殺鬼雄黄圓」という薬が発売されたと、「たなみん寄席」で教えてもらいました。コレラという鬼を、虎に退治してもらおうというわけです。

 それに因んで、少彦名神社の笹には虎の張り子を付けるのだと、ようやく腑に落ちたことです。

 

 

 虎つながりでもう一題。

 鬼門は東北の方向。そこは、鬼の出入り口と怖れられたところです。もし、門が開いて悪い霊魂が入ってきたとしても、それを食べてくれる番人がおればと考えました。

 鬼より強くなくてはなりません。それが虎だったのです。

 だから草木も眠る時間帯は丑寅を配したのでしょうか。因みに神農さんは牛の姿をしています。

 強いものどおしで鬼門を守ってくれています。彼らのおかげで安眠できるのですね。