
昨夜、編み物しながら、録画しておいた『光る君へ~総集編~』を見ました。
その構成は、道長とまひろの名シーンを集めたものになっていましたので、観ているうちに再度大石ワールドにどっぷり浸り、終わってしまったことをさびしく思う気持ちをひととき忘れたほどでした。
大石さんが意図された二人に対する筋の通し方が、なるほどそうだったのかと理解できたことでした。

そして、今朝のお楽しみは残しておいた『光る君へ~グランドフィナーレ』を観ることでした。
これは、12月15日の満月の日、ドラマ放映最終回に収録されたものです。
主演された吉高由里子さんと柄本佑さんが共に、オープニング曲がもう聴けないことをさびしく思うとおっしゃっていました。
そう、冬野ユミさんの音楽がどれほどドラマの進行に寄与したことか。昨夜の総集編でその思いを深くしていたところでした。
200曲以上作曲されたとはいえ、そのシーンに合う曲がこんなに贅沢に使われていたことに驚いたのです。いまさらではありますが、この録画が繰り返し観るに耐える作品になっている理由の一つは音楽だったと確信したのです。

そして、その音楽を生かすも殺すも役者さんの力量にかかっています。
主演のお二人が、大石さんの思い描いたとおりの演技をしてくださったのが、何はともあれ最大のヒット要因であることに口を挟む人などおられないことでしょう。
出ずっぱりの吉高由里子さんが見る人を疲れさせなかった。あの落ち着いた声が、へんに人を煽らなかったことが良かったです。
また、道長も演技してるのか、してないのかというギリギリのところを好演されました。
まさに、大石さん曰わく、「道長は単純素直な男の子、まひろは根が暗くうっとうしい女の子」という人間像が全体を通してみるとよくわかりました。
撮影期間二年にもなるのに、その個性を変えずにおられる役者という仕事の難しさを思うと拍手喝采しかありません。

そして、なんといっても影の主役は「月」です。月が物語を運んでいきました。
「人はなぜ月を見上げるのだろう」から始まり、
「今、誰かが同じ月を見上げていると願いながら」観る月。
道長の心の中の月が溢れた「望月の歌」。
こちらを観ているかもしれない月の住人となった懐かしい人々のことを語り合う二人のシーン。
どの場面にも涙してしまいました。
大河ドラマにはない静かでゆっくりした進行ペースが、大石さんの台詞を引き立てた演出でありました。
こんな作品を作り上げた制作者の皆様お疲れさまでした。ありがとうございました。