こころあそびの記

日常に小さな感動を

お水送り

 

 梅の次に桃が開きました。梅桃桜。順番通りの自然に感謝です。

 「桃の花が一番好きやねん」という娘と一緒にいつか桃源郷なる奥州に行ってみたいなぁ。

 それで思い出しましたが、昨日から、BS大河の後、『アテルイ』が始まってワクワクしてます。

 大沢たかお主演の2011年の作品です。

 あれっ?カラー作品だったっけ。どこか取ってつけたような色彩に少し戸惑いましたが、大沢たかおさんの初々しさににんまり。これこれ、この再放送を待っていたのです。

 阿弖流爲(アテルイ)は、何年か前に働いていた京阪電車の葛葉駅近くに石碑があって、大和政権が彼をこんなところまで連れて来たという史実に驚いたものです。

 あと3回。見忘れないように録画予約して楽しみにしています。

 

 

 昨日は3月2日。

 上の写真にあるように、昨晩とある行事が行われたとヤフーニュースが報じていました。

 東大寺のお水取りまで10日余りですが、そのお水はどこから流れて来るかご存知でしょうか。

 実は、福井県小浜の若狭神宮寺の閼伽井から汲み上げた香水なのだとか。それを闇を焦がす松明行列を組んで、遠敷川(おにゅうがわ)の鵜の瀬に流したのが昨夜です。

 これをお水送りといい、十日かけて奈良の東大寺に届きます。

 

 

 福井県小浜と奈良が地下でつながってるの?それは、神々さまの奇想天外な物語として伝えられています。

 東大寺大仏開眼供養(752年)にあたって神様が召集されたとき、福井の遠敷大神は遅刻してしまいました。申し訳ない。これからは、福井から香水を贈ります。そう言われて始まったお水送りが、今年で1274回、滞ることなく続いています。

 こんなお話をちょっと知ってるだけで、お水取りを身近に感じることができます。

 

 

 『色の歴史手帖』(吉岡幸雄著)に、お水取りの準備がいろいろと書かれています。

 練行衆が着る白衣は、紙で作られているとは知りませんでした。それも、清らかな白さをもつ宮城県白石の楮で漉いた紙だそうです。それを、誰かが仕立てるのではなく、練行衆が自ら作られるとか。練行衆に選ばれたら、細々とした修行が待ち受けていることがわかります。

 二月堂の観世音菩薩に捧げる椿のお花も手作りです。

 二月二十三日が、その花拵え(はなごしらえ)の日。

 吉岡工房で染め上げた赤い紙、黄色い紙、白い紙を椿の形に作る日だそうです。これも、練行衆がなさいます。

 赤紙は花びら、黄紙は蕊になっていきます。

 赤い花は、手に入りやすそうですのに、赤く染める花は紅花しかないということにもびっくりです。紅花を水に晒して黄色を抜く作業を繰り返して赤色の染料が取れたら、それを紙に何度も刷いて濃い赤に染め上げるそうです。

 

 きれいやなぁ。結果しか見ない人間の感想はそんなものでしょう。作り手の方も、それでいいと思っておられることでしょう。

 でも、行事の歴史や逸話や、開催に向けて汗水惜しまず働かれた人々を思いながら見ると、違った風景に見えそうです。

 せめて、罪過の懺悔、天下泰平、風雨順次、五穀成就、万民快楽と、練行衆の掲げる松明に祈りを込めたいと念じています。