
小雨模様の日には、白い椿の神聖さが映えるように思えて、好きだなぁと独りごち。
中国から梅が入ってくるまでは、祖先が愛した春告げ花でした。
古事記に、
「新嘗屋に生ひ立てる葉広斎つ真椿 其が花の照り坐し其葉の広り坐すは 大君ろかも (仁徳天皇后)」
とあります。
その頃の人々は花よりも、榊と同じようにつややかな常緑の葉に神が降臨すると考えたようで、鎮守の森には必ず植わっていた木です。
ですから、「椿」は国字です。春の木だから「椿」です。
中国からやってきた漢字の「椿」は、私たちが思う椿ではありません。
それは、『荘子』逍遥遊篇に出てきます。太古にあった八千年を春とし八千年を秋とする長寿の“大椿”を、荘子らしく人間の矮小な常識を嘲笑う例に用いています。
椿は左様に日本原産の木で、現在では二千種類もあるそうです。
赤い椿白い椿と落ちにけり 河東碧梧桐
落つるまで空と交信する椿 稲畑廣太郎

桜の開花予想まであと十日。桜に追い立てられるように雨の中で梅が満開です。
YouTubeを観てたら、日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんの搭乗されているクルードラゴンがISS(国際宇宙ステーション)にドッキング成功した瞬間の映像が流れていました。
私の耳は壊れているので、英語は聞き取れないのですが、船長の大西卓哉さんが一番に乗り移って来られたシーンにほっとしたことです。
厳しい審査に合格された人ばかりが、さらに厳しい訓練を受けて乗り込まれているのですから、当たり前なのですが、国籍や人種をこえて笑顔で互いにハグされる様子に、人間の善性を信じたくなりました。
これから半年間、ISSに滞在されるとのこと。
狭い空間に閉じこもって、話せるメンバーも限られた日々を、心安らかに体健やかに過ごすコツはどんなところにあるのでしょうか。
それは、きっと、実験項目に入っているはずですから、帰還後、地上で生かしていただけるように期待しています。

というのは、「老い」は他人と会話することが少ないと近づくといいます。
こないだのバス旅行の車内で聞こえてきたのは、一人暮らしの老人のお話でした。
「いややわ、近頃、テレビだけがお友達という生活だったので、言葉が出てこないわ」
誰かとしゃべることが一番の解決法ですが、もしそれが叶わなくてもボケない方法があります。
それは、好奇心を失わないことです。
ISSの船内実験から、高齢化する人間の健康寿命を延ばすコツを伝授していただけたらと存じます。
たまたま観たISS。どうか、ご無事にご帰還されますようお祈りしています。