こころあそびの記

日常に小さな感動を

静かな日曜日

 

 休息日。この雲の重なりが、お休みしなさいと促しているようなのですが、素直に従えない私は朝から、この体の重さを持て余して厚い雲を見上げて恨んでいます。

 ふり払う元気が出なくて、えい!と用もないのに丘を越えて図書館まで歩くことにしました。

 こんな日は、ほんとうはもっと遠出したほうが気晴らしになるのでしょうが。

 

 

 昨日だったか、車を走らせていたら、今まで駐車場だったところを掘り返していたのを見て、突然、父を思い出しました。

 そういえば、近所に長年放置されていたマンションも解体が始まっています。

 父は生前、走っている車の数だとか、工事の数を見て勝手な「景気判断」を話してくれたものです。

 車や買い物客が少ないと、不景気やな〜。

 反対に、車が多くなって工事が増えると景気が上向きだと。

 子どもだった私には興味のないことでした。

 でも、会社勤めを全うしたこともないのに、景気には敏感で、枕元には常に囲碁の定石本と『会社四季報』がありました。

 

 

 父が亡くなった時、株屋さんが「お父さんは、ご自分の好きな株を買われるので···」、そのあとは濁されましたが、専門家のアドバイスを受け入れることなく売買に精を出していた人でした。

 そんなことを趣味にできた人生は幸せでもあり、それしか楽しみがないのはさみしいことだったかなとも思われます。

 今年は十三回忌。

 もうそんなに経ったのかな。

 毎朝、遺影に会ってるからそうは思えません。

 この父母の遺影はどちらも娘が選びました。

 娘にとって、楽しかった思い出の中にいる祖父母は、いつも輝いていたのでしょう。とてもいい笑顔の二人です。二人の本性が善性であったと思える写真です。

 下手に私なんかが手出ししなくてよかったなぁと、お線香をあげながら思っています。

 

 

 傘をさすほどでもない小雨が降ったり止んだりですから、歩いている人もまばらです。

 借りてきたのは、読んだことありそうな『着物あとさき』(青木玉著)です。

 だんだん、新しい本に手がいかなくなってきて、これじゃいかんという気持ちがあるのに、選び取るのは知った本です。

 この本のキーワードは「着物」と「青木玉」です。幸田文さんの着物が出てくるのを楽しみに借りてしまいました。

 ちなみに青木玉さんは幸田さんのお嬢様です。

 そして、短歌の棚で目についたのは『窪田空穂歌集』です。このご本も私の履歴が何度もあるはずです。

  「 はらはらと黄の冬ばらの崩れ去る

     かりそめならぬことの如くに 」

 雨の日の過ごし方。皆さまはどうされていますか。