こころあそびの記

日常に小さな感動を

渋み

 

 ススキやセイダカアワダチソウが咲く道を、秋の雲めがけて歩いてきました。

 

 

 自宅ではうまく根付かないコスモスが盛りです。少し、乾燥気味の土の方がお好みなのでしょうか。

 ”秋桜“と書くくらい秋を代表する花です。ひ弱そうに風に揺れる立ち姿に、華奢とは縁遠い私は憧れています。

 

 

 昼間は動けば汗ばむほどでしたが、朝は10度台まで下がって、季節が巡っていることに安堵します。

 こうなると、夏の間、コーヒーを淹れてきた手が止まるような日はないですか?

 体が温かい飲み物を欲しているのを感じませんか?この“温かい”の意味は湯の温度のことではなく、性味のことです。

 不思議なことです。誰かに命じられるわけでもなく、体のセンサーが働いて飲み物の好みまで変えてしまうとは。

 たとえば、紅茶が飲みたくなったりして。 紅茶の性味は甘苦/温ですから、温める作用があります。

 英国でアフタヌーンティーが日常的に飲まれるのも、緯度の高いことと関係があるのでしょう。

 

 

 それから、この時期、やっぱり飲みたくなるのは緑茶ですね。夏の間、冷茶にしていた茶葉を急須で淹れるようになりました。

 緑茶、紅茶も烏龍茶もみんな同じ茶葉から作るのに、その生産工程の違いで、冷ます作用のものから温める作用のものまで出来上がります。

 緑茶の性味は甘苦/涼になります。

 もともとお経を唱えるお坊さんの頭を冷ます飲み物として伝来したことからもわかるように、飲めば身も心もスッキリします。

 近頃は、外人さんに人気が出て茶葉不足と伝わっています。とくに、お抹茶なんて取り合いだそうで、日本人もびっくりの日本茶ブームです。

 そんな中、気づいたことがあります。

 若い頃は、自分のベロ感覚が鈍かったせいで、値段の高いお茶が良いものと信じていたところがありました。上手に淹れられるわけでもないのにもったいないことです。

 でも、近頃はお安い”お食事用“というお茶の渋さが体に合っているように思えています。

 余談ですが、『ばけばけ』で、お座敷にお茶を運ぶシーンがありました。そういえば、昔、お手伝いさせられたことを思いだしたご同輩が多かったのではないでしょうか。

 今の人たちは、なんでもリビングで事足りてしまう生活です。お盆も茶器も、なんなら茶托も知りません。

 だから、上等な茶葉は宝の持ち腐れとなりまして、日常使いのお茶で十分満足しています。