こころあそびの記

日常に小さな感動を

秘める思いの行方

 

長かった『瓔珞<エイラク>〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜』70話を見終わりました。
 何が大変って、字幕を読まないといけないのでテレビの前から離れられず、ほかのことが一切できない不便さを乗り越えての観了でした。

 紫禁城は1987年に世界文化遺産に登録されました。
 愛新覚羅一族の最後の皇帝を描いた『ラストエンペラー』の舞台です。
 中国に行かれた方から、規模が違う、広さが違うと聞きますが、ドラマのための作り物であっても画面から十分に窺えました。
 

 清王朝満州族のたてた国です。
 その統治方法は漢民族の風習を容認しながらのものだったそうです。
 ドラマを観ていると、日本でも行われている七夕をはじめ、風習がたくさん出てきて興味深いところです。
 漢方医療についても勉強になります。
 胃が弱っているお姫様にお餅を食べないように侍医が忠告するシーンでは、食べていた「赤福餅」が喉に詰まりそうになりました。
 芋や餅など粘度のある食品は、胃弱の人は控えましょう。なんて決まり事は絵に描いた餅。
 本当に体が拒否したときにはわかるはずだから、そうなるまでは、まぁいいかと食べてしまうダメな私です。
 
 墨、硯、筆、紙や調度品。扁額に掲げられている書の筆跡の美しさも楽しく観させてもらいました。


 そして、肝心の内容です。
 「女官から皇后へ上りつめた実在の女性をモデルにした宮廷愛憎劇」とあります。
 ほとほと疲れ果てるくらい、これでもかというくらいの憎しみ世界です。
 それでも、見続けられるのは、ヒロインの奔放ぶりの根底に消えることのない純情があるからです。
 心の中で誓い合う二人。
 最後は「僕は君を生涯をかけて守り抜いた。来世は、君が僕を守ってくれますか」という言葉を残して死んでしまった彼に、「守る」とヒロインが天を仰いで終わります。
 結局、この一筋さに惹かれて、最後まで観てしまいました。
 そして、思うのです。叶わぬ純情ほど人を魅了するものはなくて、それは誰もが胸の奥に灯す希望のせいではないかと。