昨晩、眠っている間に暴風雨が過ぎていったようです。全く知らずにいたということは熟睡していた証拠ですね。ところどころ雲が残ってはいるものの上空は快晴の朝になりました。強い風が塵を吹き飛ばしてくれた美しい青空を「冬晴れ」というそうです。
小春日和の晩秋が終わって、師走に入った今日からは、キーンと晴れた日をこう呼び変えましょう。
関東では、通勤時間帯に、浸水するほど大雨が降って風が吹き荒れていると報道されていました。
天気図を見たら、西には北西から南東に移動する高気圧団、東には南西から北東に移動する高気圧団。その谷間にできた低気圧が今まさに日本列島を通過中です。
倉嶋厚さんの本の説明にあまりにぴったりの気圧配置で、うれしくなりました。
こうして、西から東へと天気が変わっていくのは、西から東へ波打つように吹いている偏西風のせいだそうです。今日みたいにきれいにその現象が見られる日は、平素は忘れている地球の住民であるという事実を認識します。
仕事に向かう途中、街路樹から枯れ葉が舞い落ちて、交差点の真ん中でその落ち葉が這い回ったり、吹き上げられたりと、テンポの速い葉っぱのダンスが見られました。風は見えない天の意思を表しているといいます。意のままに操られる地上の私たちには見えない力はいつも畏敬の対象です。
舞い上がる落ち葉から、いの一番に連想したのは、みつはしちかこさんの『チッチとサリー』です。
ちっちゃなチッチがのっぽのサリーに恋をするというほんわかした漫画です。静かな思いなんて、いまどきの若者には受けないかもしれませんが、私が大学の頃には人気がありました。
その中に、枯れ葉がカサコソと音を立てて、チッチについて来るというワンシーンがありました。どうして、そんなところを覚えていたのか分かりませんが、みつはしちかこさんが枯れ葉で表現された哀愁を、その頃の自分は好ましく捉えたのでしょう。わびしい青春でした。
枯れ葉は、有名なシャンソンで歌われるように、フランス人の心を動かすもの。日本人は紅葉に心奪われるもの。と、秋の楽しみ方も東西で分かれるようです。
うらをみせおもてをみせてちるもみじ 良寛
この俳句のように、自然のちょっとした姿を見落とさず、そこに人生まで重ねられる生き方に深い共感と尊敬の念を抱いてやみません。