真っ青な空が広がって、気持ちのよい朝でした。
タンポポ。
紫鷺苔。
八重桜が咲き始めた林の中は、紅色に濃淡があって見応えがあります。
スギナに似ているようで、スギナほど柔らかくなさそうな草を見つけました。
砥草(とくさ)というみたいです。
砥石の砥ですから、昔は歯磨きや爪磨きに、繁用されていた植物でした。
生薬名は「木賊(もくぞく)」で、止血や下痢止めにつ使っていたとか。
また、この草の色を「木賊色(とくさいろ)」といいます。
家に帰り着いたら、入れ替わりに出かける孫とすれ違いました。
羽織っていたカーディガンの色が気になって、『色の歴史手帳』(吉岡幸雄著)で調べてみました。
そうでした。縹色(はなだいろ)。
四段階あるうちの、中くらいの縹色でした。
藍染の過程で出てくる色だそうです。
こんなに美しい名前が、奈良時代に記された日本書紀にすでに登場してるのです。
英語では、“light indigo”。なんか当たり前すぎて奥行きが感じられません。
それに比べて、日本語の一字が持つ豊さはどうでしょう。
それは、人々の生活そのものに自然への崇敬の念があった証といえそうです。
自然の中から取り出した色に付けられた和名を見るたびに、日本人の感受性の素晴らしさを思うのです。