突然ですが、長崎といえば、と問われたら何と答えましょう。
カステラ?チャンポン?
もっと、真面目にと言われたら、蘭学?
大事なものを忘れていました。
「キリスト教」です。
弊店の利用者に近くの教会のシスターがいらして、短い時間でしたが、根ほり葉ほり聞かせていただきました。
彼女は長崎出身で、「私の家系は修道者が多いものですから、自然とその道に・・」とのことでした。
そうなんだ。長崎に入ってきたものは数あれど、その中にキリスト教があつたことを忘れていました。長崎が受けた惨い洗礼を、なにも知らない私は新鮮な思いで聞きました。
しばらく大阪の修道院にいた後、彼女が外国に行きたいと希望を出したのは、少女時代からの夢だったからだそうです。
一旦辞令が下ったら、行かねばならない決まりだそうで、彼女もびっくりした任地はブラジルで、アマゾン川を海から70km遡った街だったとか。
ブラジルといえば、華やかなカーニバルが思い浮かびますが、彼女の印象は違いました。
「私が出会ったブラジル人は素朴で心優しい人達だった」。
それは、昔の日本人が持っていた温かい人情みたいなものが生きている場所ということでしょうか。
そういえば、小野田寛郎さんがブラジルで牧場をされていました。フィリピンのルバンク島から帰ってきて、30年ぶりに見た日本人社会には馴染めずに、ブラジルを選ばれたのはそういうことだったのだと合点がいきました。
長崎に話を戻しまして。
弾圧を受けたキリシタンは長崎から熊本や五島列島に散ったようです。
五島列島はお魚の島ではなくて、キリシタンが追いやられた悲しみの島だったのですね。
昔、奉職した兵庫栄養専門学校の拭石校長は毎年、夏休み中に、五島列島の食生活調査に参加されていました。胃ガン多発地域ということで、その食生活の特異性を調べていたようです。
今から半世紀も前のことですから、体のことは、外から入る食べ物が鍵を握ると考えたのでしょう。
しかし、体は心に連動する部分が多い。場合によっては、そちらのウェートの方が大きい場合もあります。
そんなことを考えると、胃ガンの原因は食生活が原因とばかりは言えないような気がします。胃はストレスがいち早く現れる臓器です。迫害という恐怖に晒される心のあり方が影響した可能性も無きにしもあらずではなかったでしょうか。
隠れてでも信仰を守り通した人達の拠り所は、神を信じるという一点でしょう。信じるものがあることで、人は強くなれます。
自分を見守る優しい目を常に感じることが、迷いを少なくします。
遠藤周作の名著『沈黙』。若い頃の自分には難しい作品でしたが、再読してみようと思っています。