こころあそびの記

日常に小さな感動を

日の丸弁当

f:id:snowrumirumi:20210811195237j:plain


 桜の木の下に停めている車のフロントガラスに、黄変した落葉が挟まるようになってから、もう何日になるでしょう。
 暑い暑いとはいうものの、季節の循環は秋へと向かって、その歩みを早めています。
 今週は前線が停滞して、早くも秋霖とか。次に晴天が戻った日には、太陽エネルギーも翳りをみせていることでしょう。

 お盆休みで、家族のお弁当作りもお休みです。なので、手抜きをして、自分用のお弁当は白いご飯に一粒の梅干しを乗せて持って行ってます。
 その梅干しの酸っぱいこと!それでも、飽きないのは、自分が天塩にかけて作ったものだからでしょうか。
 我が家の庭にある梅の木は樹齢50年は過ぎたでしょうか。上の方の枝に手が届かずに、梅伐らぬ馬鹿で延び放題です。
 毎年、たくさんの実をつけますが、今年はどうしたわけか大豊作でした。ならば、作るしかないかと梅干し作りにチャレンジしました。何度かチャレンジしたのですが、土用干しで雨に降られたり、堅かったりして、なかなか上手くできなかったのに、今年は娘に教えてもらって何とか食べられるものが出来ました。若い人の情報収集力のおかげです。
 ポイントは追熟にあったようです。
 枝で熟した実を摘果してから、数日間、黄色く熟すのをさらに待つのです。柔らかくなったものを塩漬けすれば、柔らかな梅干しができることを勉強しました。
 
 酸っぱくて、顔が変形しそうな梅干しは人気がなくなったのか、店で売ってる梅干しはどれも酸っぱさをマイルドにする工夫がなされています。私好みの昔ながらのシンプルな塩漬け梅干しは殆ど見かけなくなって、味覚の変遷はこんなことにも感じます。

 梅干しの効用をみれば、現代人にこそ役立ちそうです。
 腸内環境を整えるなんて、まさに流行のワードです。
 免疫力をアップするもしかり。コロナ時代にぴったりです。
 肥満、糖尿病の予防なんてうれしいかぎりではありませんか。
 そして、梅干しに含まれる塩分こそ大切なのだと教えてくださったのが『食は薬なり』を書かれた須藤朝代さんです。
 減塩ブームです。でも、忘れてならないことは、体に血潮を巡らせるものは塩であるということです。
 彼女の食生活は平素は梅干しご飯だそうです。たまに、お出かけして少し贅沢なさると書かれていたように記憶しています。
 エエッ!そんなんでいいんですか?と飽食時代に生きる人は思うかもしれません。
 でも、高僧が粗食にされているシーンを見たことはありませんか?
 粗食が体と心を澄まし、いのちを蘇らせると昔からいわれてきました。
 無理にしなくていいのです。あなたの体が欲しているなら食べてもいいと思います。食べられる時は食べていいんだよと言われたら、開放された気になりますよね。
 ただ、不調になったとき、そうだった。粗食という手があったなと思い出すことができたら、治療の第一歩になることは覚えておきましょう。
 
 梅干し弁当を食べながら、酸っぱい!と顔を歪めて、これぞ自分で作った健康の元だと体と心が満ちていくのを感じています。