こころあそびの記

日常に小さな感動を

花梨の花

 

 歯医者さんからの帰りに遠回りして、春を探してウロウロ。

 一番ときめいたのは、花梨の花でした。実の堅さや枝にしがみつく頑固さを忘れさせる優しい花です。

 咲き誇る花々に気持ちが入ってしまうのは、私たちの会の花だと思って見るからでしょう。

 「花梨の会」という名前を付けてくださった小西さんに感謝です。

 

 

 昨日に続き、『虎に翼』を観てしまいました。

 私の一世代上の方々が信じていた結婚の法則の登場に思い出すことがありました。

 この脚本を担当されている吉田恵里香さんはまだ36歳ですから、今となっては笑い草になってしまった昭和中期の結婚事情はご存知ないはずです。

 「女はなにも知らないうちに嫁にいった方がいい」

 私が子どもの頃、母と母の姉がそう話しているのを聞いたことがあります。それほど、当時の親は「行き遅れ」を怖がっていたのです。親の恥とまでいわれた時代です。

 お勤めなんかさせてはいけない。

 女に勉学は不要。などなど。

 早くお嫁に出すための算段だけを考えていた親たちでした。

 

 私の母は末っ子ですから姉は10歳年上でした。つまり、その姉の子どもは私より10歳年上です。その従姉妹の縁談話になになにと聞き耳をたてるおませな小学生の私でした。

 

 

 今朝のドラマでは、頑なにヒロインに結婚を勧めていた母親自身が、「お父さんと結婚したのは、逃げられるところがあるならどこでもよかった」と結婚に踏み切った本心を語りました。

 

 難しい問題を抱えて始まった『虎に翼』。

 脚本家はたいへんだと思って、経歴を見ましたら、たった一つ『恋せぬふたり』というドラマを観た記憶がありました。

 他者に恋愛感情を抱けない二人の同居という、ややこしい関係が描かれていました。

 あぁ、今回の抜擢は、あれを書ける力が評価されたのだと納得したことです。

 そして、評価したのは、素人だけではありません。この作品で第40回向田邦子賞を受賞しています。

 懐かしいですね。

 向田邦子さん。

 

 

 向田邦子さんが身の回りに起こることから書き起こせたのは、昭和という古き良き時代があったからかもしれません。

 現代の脚本家はたいへんです。

 いままでの常識だけでは視聴者は付いてきてくれません。ですから、何か新しいものを書き加えねばなりません。

 プラスする材料が性的志向が多いのはその加減もあるのでしょう。

 政治や経済や芸術や学校など従来通りの世界では人の関心がひけないから、突拍子もないことを、あたかもトレンドのように作り上げるというテレビ業界の裏事情が垣間見えます。

 いまどきの人だって、そんなこと望んでないのにね。

 先日の『GTO』の再放送。うちの娘なんか大感激でした。

 人が心動かすのは、ステレオタイプの根性もので充分です。

 『虎に翼』が、吉田恵里香さんにどのように書き進められるのか。

 昭和女のど根性物語に期待しています。