こころあそびの記

日常に小さな感動を

天地をつなぐ鳥

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 中国ドラマには、伝書鳩が頻繁に登場します。
 私が中学生の頃は、伝書鳩クラブが部活動として存在していました。部長の男の子は教会に住む人でした。  
 きれいな心の人だから、とてつもない優しさを鳩との交流に費していた姿が懐かしく思い出されます。
 今は、伝達手段も増えて、わざわざ鳩を使うこともなくったこと、また一時は鳩公害もありましたから、鳩小屋を見かけることもなくなりました。
 
 ところで、同僚に鳥を三羽も飼ってる人がいます。文鳥が二羽に、オカメインコが一羽です。鳥好きの人がいるなんて初めて知りました。
 鳥をペットにするという感覚がなかった私は、ペットといえば、犬でしょう。百歩譲って猫でしょう。と言ってしまったくらいです。
 でも、毎日、その様子を聞いていると、鳥と交流していることがわかるようになりました。両肩に一羽ずつ、頭に一羽を乗せて、ママを待つお嬢さんの写メのかわいいこと。
 そういえば、神戸動物王国では、風のテラスという囲いのない屋外で、ワシやタカを飛ばしているそうです。逃げていかないのは、飼育者と心が通じている証拠です。心通わす力を持つことも知りました。

 さて、天と地の間にあって両者を結ぶものは雲と風。その風に乗って移動するのが鳥ですから、彼らは天地を自由に行き来できる力で何か果たすべきお役目があるのでしょうか。
 昨日、辛坊治郎さんが太平洋を無事にヨットで渡りきって、アメリカに到着したとニュースがありました。
 その第一声の中で、クジラやイルカは当たり前。ツバメも横を飛んでいる。と話しておられました。
 大海原を飛ぶための飛行エネルギーは誰にもらっているのでしょう。どこでチャージしているのですか。今に生きる者でさえ感心するのですから、こういう姿を見た古代人が鳥を崇めたことは当然のように思えます。
 吉祥を表す空想上の四聖獣の一つ、「鳳凰」は聖天子の出現を待って、この世に現れる瑞獣といわれます。
 手塚治虫さんがアトムで未来の子どもたちに夢を与えたあと、生きるとは何かという命題に挑戦されました。そのモチーフは鳳凰を象った「火の鳥」です。
 生涯をかけた置きみやげを鳥に託したことに、深い意味を感じます。
 何年か前、淡路島で「火の鳥ナイトウォーク」に参加したことがありました。暗闇で見た「火の鳥」が心を醒まさせるに十分なエネルギーを放っていたことを思い出します。
 人は天空を飛ぶということに、見果てぬ夢を抱き続けるものなのでしょうか。