こころあそびの記

日常に小さな感動を

さようなら星田

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 来月から職場の異動のため、今日が星田の見納めです。
 長らく楽しませてくれた景色や花々にお別れするために、朝の散歩は、さようなら、さようならと一歩一歩踏みしめて歩きました。
 まだ青くて固い実のくせに、プンプン匂いを発しているイチヂク。大きく育ってきて実を寄せ合っている青柿。大好きだった大きな蜜柑の木。
 それから、立派に育ちつつある稲。この日照りで土が割れているのを心配しながら歩きました。
 秋の収穫を見届けられないことが堪らなくつらいことに思いました。

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 「南無太師遍照金剛、南無太師遍照金剛、南無太師遍  照金剛」
 お大師様、ありがとうございました。
 東高野街道に何百年も立ち続けて、高野山を目指す旅人の無事を守ってこられたお像と目を合わしながらありがたく感謝して瞑目いたしました。
 お大師様はどこにでもおられる。でも、この佇み方を含めて忘れられないお大師様となりました。
 

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 もう一つのお気に入りの場所は大阪市立大学理学部附属植物園です。
 年パスをゲットしたのは今春でした。それからコロナ騒動で閉園になって、4~7月の園内が一番華やかになる季節に足を踏み入れることができませんでした。
 それでも、たくさんの植物が誰に見てもらわなくても、時期が来たら花を開いたことでしょう。
 そんな樹木や花々に見習うことのなんと多いことでしょう。静かに咲いて散っていった花に、えらいねと言いながら歩いていたら、「ナナミノキ」の実が道にばら撒かれているのを発見!3つだけそっと拾いました。ごめんなさい。
 
 植物園の入り口で、「五十年に一回開く“アオノリュウゼツラン”が咲いていますよ。盛りは過ぎたかもしれないけれど、見ていって下さい」ともらったパンフレットの案内にしたがって行ってみました。
 
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 竹は百年に一度花咲くと聞きますが、この花も砂漠で何十年に一度開いて、そしてその株は枯れていくそうです。
 開花は100年に1回ともいわれて、センチュリープラントとも呼ばれる気の長い植物です。
 しかし、100年蓄え満を持して咲く花の栄養は砂漠に生きる人を支えうるものだったようです。
 メキシコの有名なお酒、テキーラはなんとこの花を原料にして醸造したお酒だと書いてあります。
 いつどの株が咲くかも分からないのに、砂漠一面に植えて100年待ってまでお酒にするなんて、下戸の私には理解できませんが、きっとメキシコの気候にはテキーラが合うのですね。
 珍しい出会いは今日のために用意されていたと一人悦に入ってはまた感謝です。
 
 長い一日でした。
 たくさんの別れをしてきました。
 明日からはこの心の残照を楽しむことといたしましょう。
 ありがとう。星田。