心が解放される晴天です。
青い空に白い雲が浮かぶ素直な光景は、カメラの良し悪しによらず、誰が撮っても気持ちよく写ります。
今日は言葉がいらない日です。
寒露に入り、稲刈り真っ盛りの光景が秋を感じさせます。籾殻が青い空に舞う中、その香りに包まれながら歩きました。
豊年万作。コロナ騒動に明け暮れた人間を横目に、例年通りに秋の収穫時はやってきました。頭を深く垂れた稲穂に、こちらこそありがとうとささやき返します。
よかった本当によかった。
実りの秋を迎えられて本当によかった。
ゆく秋の大和の国の薬師寺の
塔の上なるひとひらの雲 佐々木信綱
こんな日は、奈良の散歩をなさっている方が羨ましいことです。
猿沢の池に映る興福寺の五重塔。
ささやきの小路の落ち葉を踏みしめる音。
飛鳥の里の熟れた柿の木。
どれも歩いたことのある道ばかり。まぶたに浮かぶ風景から、そのときの自分に会える思いがします。淋しさから一人旅に出たとしても、歩いているうちに、すべて忘れて、あるいは許せる自分になるのはなぜでしょう。
自然の中を歩く効用。近いうちに、奈良へおいでと薬師寺が誘ってきます。
言葉のいらない日には、こんな詩を。
「地球に種子が落ちること」
岸田衿子作
地球に 種が落ちること
木の実がうれること
おちばがつもること
これも 空のできごとです