こころあそびの記

日常に小さな感動を

杜の気をいただいて

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 「仙台出身、杜けやき」といえば、宝塚出身の女優さんです。
 杜の都、仙台はケヤキ並木で有名でした。今は地下鉄を引くために以前よりは少なくなってしまったでしょうか。再生は地元の人のみならず、遠く離れた大阪人も望むところです。
 
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 「社(やしろ)」のつくりの“土”は土饅頭、へんの”示“は神事を行うための台を表しています。その土地の神様を祀ることが神社の始まりです。
 では、「杜」は何を表すのでしょう。土饅頭は同じですが、”木“へんです。中国から伝わった漢字は「やまなしという果樹」を表したようですが、日本人がこの字を「森、神社の森」という意味の国字として使ったことは、意味ある言葉として生き続けています。
 照葉樹林の鬱蒼とした林が神社の厳かさを守っています。一歩、中に入れば、空気が変わります。
 東北大震災のときに難に合わず残った神社は、ほぼ岬の先に建てられていたと言いますから、神社は海と陸の結界に建てられて、人々を守ったといえます。
 摂津一宮の住吉大社は古くは大阪湾に面していましたから、境内のお宮は面白い配置になっています。ただ、森が境内にはないのです。それを、いつも残念に思っています。
 住吉大社と同じように、東海道の中で唯一、海上を渡る所に鎮座するのが、熱田神宮です。
 ここは、大きな杜です。中に入ると明治神宮伊勢神宮に似た空気を感じることができるのは、樹木のおかげだと思います。
 まさに「杜」、森の恩恵の中にある土饅頭です。
 境内はどこも神聖な気に満たされていますが、本殿の後ろを通る「こころの小道」の静けさが好きです。
 清水社ではお水で願掛けして、最後は「天照大神の荒御霊」にお参りします。

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 今回、小道はすっかり整備されていました。これもご時世かと思います。それでも、荒らされずに残る森の木と話ができる所は貴重です。
 それから、森の中にはたくさんの小鳥が住んでいます。木々を渡りながら囀りを交わしているかわいい声に癒されます。
 先日、ラジオに“小鳥の言葉を研究”されている先生が出演されていました。
 四十雀が賢くて研究対象にされているそうです。
 ヘビが近づいているよという警報を伝えあったり、ヒナを守るための威嚇など、シチュエーションに合わせて鳴き交わしているそうです。
 しかも、他の種類の鳥も返事はできないけれども、聞き分けられるようです。
 そう思って、けたたましく鳴いている鳥の声を聞いていると、彼らが森のお飾りではなく生きていることを確信できました。
 やまもももをはじめたくさんの木々が実をつけています。秋の恵みが溢れる森で、楽しく啄む様子を想像しながら、小鳥たちを見上げたことでした。