こころあそびの記

日常に小さな感動を

初冠雪の便り

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 何日か前の朝刊に、題名は忘れましたが「ミントキャンデーの思い出」を投稿されていた方がありました。
 バス停でバスを待っていたら、知らない男性がこう話しかけてきたそうです。
 「がんじゃなかったんです」と。
 近くの病院からの帰りだったのでしょう。うれしくて誰かに、この気持ちを伝えたい!という思いは人生にそう何回もあるものではありません。
 話しの唐突さにうろたえているうちに、一個のミントキャンデーを手渡して病院帰りの彼は遠ざかっていったといいます。だから、今でも、その味を口に含む度に、あの出来事を思い出すというのです。
 聞いてあげた投稿者の驚きと、優しさが読後感を爽やかにしてくれるストーリーでした。

 ちょっと見てよ、早く早く!だれかに聞いてほしいことってありますよね。虹に出会った時みたいに。
 

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 今朝は虎杖の花を見つけました。
 こんなに寒くなったのに、花が咲いていました?実がなっていましたというべきなのでしょうか。
 九月の仲秋の名月の頃に花が咲くから「メイゲツソウ」なんて別名もあるそうです。虎の杖という厳めしさとは正反対で笑えます。
 イタドリは何処にでも生えていますから、春には山菜採りの人がポキンと折って、喉を潤すのに一役かう山菜です。
 鎮痛効果や傷薬にも使われたところから、「痛み取り」から転じてイタドリとなったようです。
 それにしても、虎の杖とは勇ましすぎます。中国の人に命名の理由を聞いてみたいものです。
 その花を初めて認識したことが、一つ目のうれしかったこと。

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 二つ目は、メタセコイアの紅葉した葉の中に実が見えたこと。
 落葉の中に落ちていないかと探しましたが見あたりませんでした。
 調べてみたら、冬の間は枝に残って、翌春に落下するとのことで、納得しました。サクランボみたいに柄がついた茶色のかわいい実を春になったら探しに来ます。
 
 何十年と生きてきたのに、知らないことばかりです。
 生きることに飽きないように、どなたかがご配慮くださっていると素直に思えるようになりました。
 そんなふうに思えば無知を恥じることもなく、人の幸せはあらゆるところに転がっていることに気づきます。
 拾い上げるタイミングに恵まれること、そのときのフィーリングがそれを受け入れる温かさを持っていること。それが小さな幸せを掴める条件です。
 しかし、心が頑なな日だってあります。そんなときは幸せのささやきを素通りしてしまうものです。受け入れられない日もまたよしです。そんな日は、ぼーっとしていましょう。
 冬はそのために用意された季節です。炬燵の中に足を突っ込んで、窓ガラスに当たる日射しが揺れるのを見るのが好きです。