こころあそびの記

日常に小さな感動を

「八腊粥」

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 そういえば、この写真のお粥、去年は近くの中華料理屋さんに頼んで作ってもらったことを思い出しました。あれから、もう一年が巡ったことに、言われるまで気づきもしませんでした。
 
 昨日は旧暦で12月8日でした。
 
 中国では、この日を一年の区切りのとしています。
 まず、一つ歳をとる日。日本で数え年をお正月から数え始めるのと同じですね。
 それから、言うまでもなく寒中ですから、ここが寒さの底だよ。その先には春が待っている。春になるということが地球上のすべての人間の共通の希望なら、それが平和の礎になりはしないかと、小さな願いを抱きます。
 ほら、みてごらん。チューリップだって、桜だって、この寒さに耐えてこそ春になったら花開くんだよ。それとなく置かれたこんな小さな隣人に自然の仕組みの妙が隠されていることに気づくことでいのちは華やぎます。
 一日一日、日脚が伸びて陽光が明るさを増してくる。冬がいやなわけでは全くないのに、どこか期待している自分がいます。

 春を心待ちにされているのは、中国の方も同じです。 
 寒い北方ならなおさらでしょう。
 この日に温かいお粥を食べる風習があるのも、寒さを乗り切るためです。
 その友人が言うには、日本はどうして豆が売ってないの?中国にはたくさんの種類の豆があるよ。と。
 厄払いのお粥ですから、赤色です。クコ、ナツメ、小豆などのほか、いろんな豆を入れて、臙脂色のお粥を炊き上げます。
 それらが手に入らないから、写真のような缶入り「八宝粥」が中華材料のお店に売り出されるそうです。
 日本では、七草粥。中国では「八腊粥」または「八宝粥」。
 きっと、その思いは同じなのではないでしょうか。
 身体に溜まった老廃物を排出して、きれいな身体になって無病息災を祈ります。


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 荊楚歳時記によれば、旧暦12月8日を臘日といい、鼓を鳴らして春草を呼び、金剛力士を作って疫を払い沐浴して罪を払う日と書かれています。
 「臘」とは猟のことで、狩猟して先祖をお祭りする意。
 また、「八腊粥」の「腊」の字は12月を指して、その年の農業のお終いを饗し、しばらくの安息を表します。
 これらをみるにつけ、中国人は季節のめぐりを大切にしているように感じます。裏返せば、それは大陸の自然の厳しさを表しているのかもしれません。自然を抜きには語れない国土に住まう人々の知恵は頑丈です。
 
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 ところで、今日は日本では、「鏡開き」です。
 週末は小正月ですから、お正月気分も今週まで。寒さの中であれやこれやと忙しくしているうちに、着実に春が近づいてきます。

 春が来る?そりゃ当たり前よ。順番やもん。と言わずに、ちょっと目を凝らしてみると至る所に春の萌芽が見られます。どんな小さな発見でもウキウキしてきます。それが今日一日を元気に過ごす秘訣なのです。

 〈追記〉

 「八宝粥」は高級食材が入っています
 霊芝、ゆり根、氷砂糖、松の実、などが入って甘くカ  
 ロリーも高いので、病人や老人によいそうです
 「八腊粥」は家庭にある雑穀などを用います
 クコ、なつめ、しょうが、コウリャン、あわなどを入  
 れて作ります

 以上、只今仕入れた情報です!