こころあそびの記

日常に小さな感動を

立春大吉

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 昨日、帰宅したばかりの私を孫が「ちょっと来て!」とリビングに来るように誘います
 ないことなので、「ははぁ~ん」と内心では「あれだな」と了解しつつ、知らないふりして「何よ?」と付いていくと、娘と二人して、「イタチみたいなのがいるねん」と笑いをこらえた様子で言います。
 パッとカーテンを引くと、鬼らしきもの(上の写真)が闇に設えてありました。
 かわいい!ちっとも怖くない!この鬼さん可愛くないですか?おちょぼ口の鬼なんて聞いたことも見たこともありません。
 なんでも、仕事から帰って、孫たちにばれないように隠れて作った娘の苦心の作らしいです。
 みんなで鬼は外!をして、おちょぼ口に付けた袋に豆を入れるゲームも兼ねたとか。
 家族に楽しい時間を提供しようとして励む母親に頭が下がります。そして、幼い時からそうやって育ってきたから、中学生になった孫でさえ、母の思いに応えてあげようという優しさが備わっていることに、感心してしまうのです。
 子育てに上手下手はありませんが、それにしても、と思います。
 翻って、自分は感情を押し殺した幼少期でした。母が何かしてくれても、うれしくて飛び跳ねたり、満面の笑顔を向けた記憶はありません。
 育て育てられの交流が素直にできない親子だったと、今更ながら思います。それでも、不思議と今でも孫たちに思い出してもらえる私の両親です。親の権威が許された昭和は親にとっていい時代でした。
 少しずつ変わっていく家族のあり方。素直に感情を爆発させながら育つ子供たちを羨ましく思う毎日です。

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 立春となりました。
 この日を冬季オリンピックパラリンピックの開催日に当てるとは、さすがに中国です。
 
 古代中国では、農業の開始時期である春を年の始まりとして、盛大な典礼を催して春立つ日を迎えたと歳時記に書いてあります。
 門に「宜春」と貼ったのは、福禄寿の祈願をこめる意味があるそうですが、私たちには「立春大吉」の方が馴染みます。この字づらが明るい春の到来をイメージさせる効果絶大です。
 また、婦人は燕を美しい色の糸で作って、口には青い紙をくわえさせたとも。青は五行で春の色です。
 そう言えば、中国のオリンピックのメイン会場となるスタジアムの名前は「鳥の巣」と聞きました。どこまでも春を意識していることに驚きました。

 燕の飛来と同じくらい、皆が待っているもの。それは、ウグイスの初鳴きではないでしょうか。

 「をやみなく雪はふりけり谷の戸に
  春きにけりと鶯ぞ鳴く」 (道元禅師)

 谷から里へ。道元禅師も雪の中で春を待たれたお一人だったことが偲ばれます。

 この冬は福井にも大雪が降っていると聞きます。
 しばらくは三寒四温が繰り返されることでしょう。
 この時期の養生は、早々と薄着にしないことです。余寒に体の熱を奪われないように注意いたしましょう。
 陽光に明るさがもどり、鳥が鳴き、水がぬるんで・・・花開く。徐々に自然が体を目覚めさせてくれます。ゆっくり、ゆっくりと。