こころあそびの記

日常に小さな感動を

「杉原紙」に描かれた豆さん

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 節分の前日に「福ハ内の豆さん」が届きました。
 いつもながらのオシャレで温かいお便りにほっこりしています。
 贈ってくれたのは子供が小学校のときの同級生のお母様。
 彼女には、“豊かな人”という表現が似合う気がしています。所作にゆとりがあります。持って生まれた優雅な雰囲気も好きです。
 一時、彼女のお家で”お絵かき“の時間を過ごしたことがありました。絵画教室ではなくお絵かきです。誰かが先生ではなく、その静かで落ち着いた時間を共有することが幸せでした。
 子育てが終わって、ご主人のご実家に戻って行かれましたが、「薪でお風呂を炊くの」という田舎は彼女を本来の姿に戻しているようです。
 この写真の「豆さん」のかわいらしいこと。あのお絵かき時間を彷彿とさせます。あんな時間を持てること、この先あるのでしょうか。

 ふと、このお葉書に使われている和紙の名前に目をやると、「純楮手漉和紙『杉原紙』」と印字されているのに気づきました。
 杉原紙は播磨紙の系統を引く伝統の和紙とのこと。
 播磨紙は正倉院に収められている奈良時代の文書にも名前が登場する高級和紙だったそうです。
 播磨は奈良に入る前に瀬戸内海からやってきた渡来人が住んだ場所なのでしょうか。
 製鉄技術、稲作技術などが播磨地方で盛んであったことを考えると紙漉きがこの地方にいち早く伝わってきたことも納得できます。
 福井、越前の紙漉きも、ひょっとすると同じ理由で若狭からやってきた技術者集団が居たのかもしれません。
 紙は神なり。紙がどんなにありがたいものか。
 この手触りと、墨の入り具合と耐久性はこれに勝るものがありません。
 耐久性について、余談ですが、このあいだ薬師寺のお坊さんから、「写経は墨か鉛筆で書いて下さい。ボールペンなどでは消えてしまいますから」と教えて頂きました。
 和紙に炭で書いたものは、永遠に保存できる。
 薬師如来様の階上に納められている何百万巻の写経が生きて後の世に受け継がれ、昔の人も平和をこうやって祈っていたのだと知ってもらえたらと願います。
 「杉原紙」に描かれたお豆。確かに頂きました。お陰様で厄は払われました。ありがとうございました。

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 京都吉田神社の「方相氏」の土鈴です。
 孫が興味を持ってくれたので、一つ買ってきました。
 机の前に置いて対面して勉強しています。きっときっと鬼さんは寄ってこないと信じています。かわいらしいことです。