こころあそびの記

日常に小さな感動を

京都いいとこ一度はおいでやす

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 開催が発表されるやいなや予約していた『兵馬俑』。
 予約は初日10時の一番乗りです。
 阪急河原町から、タクシーに乗って京都京セラ美術館へ急ぎました。
 今日は3回タクシーに御世話になりました。
 どの運転手さんも素晴らしい方でした。いつも京都に来るとそう感じるのは、皆さんが京都を誇りにされている証。それぞれ、数分間のお話でしたがご報告します。

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 最初の運転手さんは京都市役所で40年間お勤めされた後、健康維持のために月に10日タクシーに携わっているとお話くださいました。
 その心は京都市職員だったから京都の役に立ちたいという思いで始められたそうです。続いてお子さんの自慢話が止まりません(笑)。
 そりゃそれほど自慢したいはずでした。
 3人息子で、3人とも甲子園(高校生)と神宮球場(大学生)に出場したなんて、奇跡です。
 「みんな、性格がええんです。上下関係の厳しいスポーツのおかげです」
 「素晴らしいですね。ところで、このお仕事柄、コロナが心配ではなかったですか?」
 「そうです。息子らは早くやめてゆっくりせぇと言うてくれます」
 しっかり育てられたからこそのファミリー愛を聞かせていただき、幸先の良いスタートとなりました。
 
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 美術館を出てから、何十年もご無沙汰した哲学の道を歩いてみました。
 時々、どこからか沈丁花の香りが漂ってきます。ここは、昔歩いた頃より静かになっているように感じたのは、ブームが去ったことと、花に一週間早かったからでしょうか。

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 二台目のタクシーは銀閣寺から出町柳まで乗りました。
 タクシーに乗ると、かつて歩いたことのある場所というピースと今日のピースが繋がって、頭の中の地図が完成します。
 出町柳から京大の農学部の北側を通っていると、右側に行ったことのある湯川秀樹宅への道が見えます。学者さんなんて縁もゆかりもない私ですのに、大形先生に連れて行っていただいた、邸宅前の図書館が思い出されます。
 加茂川沿いのしだれ桜がうっすら色づいて明日にも開きそうですね、と運転手さんに話しかけると、
 「近衛邸の枝垂れ桜が満開ですよ。ここを真っ直ぐに行って白壁のところです。歩いて行きはったら」
 こんな情報も、タクシーの運転手さんならではです。
 「僕らは降りて見に行くわけにはいきませんから、みんな、お客さんからの情報なんですよ」
 そうか、お仕事されていたら花見どころではなくなるのですね。来週はすごい人出でしょうからお気をつけてと降車しました。

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 今日の締めくくりが近衛邸になるなんて、予想だにしませんでした。
 細川総理。私が拙著をお送りしたらお返事をくださった雲の上の大切な方です。
 こんなお庭で遊ばれるお殿様を想像しながら、今日の旅を終えました。幸せここに極まれり。
 
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 三台目のタクシーで四条通まで送っていただきながら、「カッコーカッコー」と鳴るのが東西方向の横断歩道が青の時(歩行者が渡れる)。「ピヨピヨ」と鳴るのが南北方向が青の時、と教えてもらいながら、また来週にでも来たいと思わせる京都のお持て成しでした。
 ありがとう、京都。