今日もきっと見えるはずと、望海の丘に挑戦しました。
竜安寺の法螺貝の音が下の方から響いてきます。今日は神変大菩薩の法要日なのでしょう。神様をお迎えする日に山に入らせていただく幸せを感じつつも、体はハーハーと息が切れます。
時間はたっぷりあることが老人の強み。休み休み上りました。
途中で、外国人の一行と出会いました。
「おはようございます」と日本語で挨拶も交わせるし、「可愛いですね、名前は?」と私の連れの愛犬に話しかけることもできる方々でした。
なのに、なのに、外国人というだけで、固まってしまう習性はなおりません。どうして、「どちらから?」とスマートに返せないのでしょう。
英会話への投資もそれなりにしたのに、学生時代に道を聞かれて逃げ出した時と全く変わってないことにショックを受けました。
上りきったら、海まで見渡せました。
「あぁ、しんどかった。でも気持ちいい!」と、上ってくる方々の口から展望を賞賛する言葉がこぼれます。
しんどかったけれど、美しいものに出会えた満足感はそれを上回ります。山登り愛好家の気持ちの一万分の一くらいの感動かもしれませんが・・・
感動を後にして、山道を下っていると、「テッペンカケタカ!」と聞こえてきました。
ついに、ホトトギスと遭遇できたことが、本日の収穫でした。
「目に青葉 山ほととぎす 初鰹
山口素堂」
古来、万葉集の時代から愛されたほととぎす。一度は聞きたいものと思っていた望みが叶いました。
「 夏が来ぬ
卯の花の匂う垣根に
時鳥 早もきなきて
忍音もらす夏は来ぬ」
卯月鳥、早苗鳥、勧農鳥などと書いて、すべて「ホトトギス」と読みます。
この夏鳥が渡ってきたら、田植えを始める目安とした鳥です。だから、時鳥とも書きます。時を違わず鳴いてくれたことがうれしいことでした。
なのに、自分で子育てせずに托卵するなんて。おもしろい鳥です。
今、人間もみんなで育てることを模索中です。
ただし、托卵までは許されても、他の子供を蹴散らすのは許されません。
それがまかり通る自然界の掟とは、人間には想像できない厳しさを内包しているようです。