こころあそびの記

日常に小さな感動を

すべては生き延びるため

 生け垣のマサキが花をつけています。堅牢な葉っぱに、こんなかわいらしい花を付けて、散歩する者を慰めてくれています。

 路傍のアスファルトの隙間にアザミが咲いています。写真をよく見ると、精巧にできていることに感心します。
 他の株は長けてフワフワの種を飛ばすところです。

 今回の公立大学公開講座「生物の多様性」は農学部の今西先生のお話でした。
 人間は自然に対して優しくないことばかりしているのではないかと思うことが多いのですが、今回は人間が手を貸すことで自然と共存している例を教えていただきました。
 それは、 「里山」です。

 日本は国土がアメリカやオーストラリアのように広大ではないのに、その他の国に比べて植物の種類が豊富で約7500種類あるそうです。
 それは、南北に長いこと、高低差があることなどから、多様な気候分布になっているからです。ただ、近年はそのうち四分の一が絶滅の恐れがあるそうで、もったいないことだと思いました。

 そこで、里山です。
 これは、人間が干渉することで、放っておいたら破壊が進む自然を守ろうという取り組み、というか、すでに日本では昔から行われてきたことです。
 「おじいさんが山へ柴刈りに行く」がその代表ですが、そのほかにも炭焼き、山菜採り、堆肥集め、下草刈りなど、人間は山を利用してきました。それによって、山も蘇ります。
 スプリング・エフェメラル(春植物=カタクリフクジュソウニリンソウ、)は、クヌギやコナラがある程度の大きさになったら利用を考えて伐採し、彼らが好む明るい森という条件を作ってやることで咲けると聞いて、里山こそ自然と共存する最前線であることが理解できました。
 

 講義中、なぜ、藻類から分かれて裸子植物被子植物と進化したのかというあたりがあやふやでした。

 そんなことを頭の片隅に抱えていたら、出ました!困ったときの田中修先生。
 
 昨日、久しぶりに車を走らせていたら、ラジオから「子ども科学電話相談」が聞こえてきました。
 田中先生に子どもが質問しています。
 「なんで、(花粉症という厄介な病気があるのに)植物は花粉をつくったのですか?」。
 子供とも思えない理路整然とした質問ぶりにびっくり。
 先生のお答えは、
 「藻類だけやとジメジメした同じ場所でしか育たないやろ。花粉を作って飛ばしたり、運んでもらったら生活範囲が広がって、生き延びる確率が増えるやろ。もし、花粉がなかったら、地球上はこんなにきれいではなかったかもしれへんで」。

 進化というのは、生き延びるためにあるということがよくわかりました。
 もう、これでいいと思ったら成長は止まると云います。
 だから、植物だって、人間だって、進化し続けるのですね。