こころあそびの記

日常に小さな感動を

感情いろいろ

 『プリズム』の第5話を見終わった直後の感想は、「盛りすぎじゃない?これじゃ収拾つかなくならない?」でした。
 いや、そこが浅野妙子さんの腕の見せ所であり、伝えたいところかもしれないと冷静になれたのは、藤原季節さんのツイッターのコメントでした。

 「ご視聴ありがとうございました。関わらないとわからないことって確かにたくさんあるよなあ。僕もこのドラマに関わって、いろんな人に出会って初めて知った感情がたくさんありました。感謝です。」(ツィッターの文面引用)

 大好きだったのに相手が目の前から消えた絶望感。
 自分の感情を押し殺し気持ちを立て直す勇気。
 気ままな母の心を取りなせない不甲斐なさ。
 子供を思う親心。
 
 まだお若い藤原季節さんが、今後知ることになる感情の数々に、俳優として、また人間としての成長を期待しています。
 
 このドラマのテーマは人間の感情の行方ではないでしょうか。
 化学反応ならAにBを混ぜたらCとなると決まっていますが、人間の出会いは、出会いの数だけ答えが違ってきます。
 恋心が芽生える間柄になることもあれば、恨みつらみが燃え上がることもあるのが人間社会です。

 千変万化の喜怒哀楽。
 時には、その感情から抜け出せなくなって、もがき苦しむことを続けてしまうことさえ度々です。

 私もその一人でした。
 その私を目覚めさせて平静な心地にしてくれた言葉の中に、
 「常懐悲感 心遂醒悟(じょうえひかん しんついしょうご)」『法華経如来寿量品より』
 があります。
 苦しみの渦中にいると勝手に思い込んで、もがいていた私を救い出してくれた大切な言葉です。
 もがくほどの経験をそのまま、受け入れて生きていけばいいよ。いつか、また、そんな人に会ったときには、共に生きてあげることができるからね。と。


 『プリズム』第5話で、若村麻由美さん演じる皐月の母親が、長年溜め込んだ本音を漏らす場面がありました。
 人間は、生きて相手が見える間は言えず、あの世に持ち込んでしまう思いもあるように思います。それではドラマが終わってしまうから、浅野妙子さんは、夫を生死の境目に置いて吐露させ、この人と関わったことの意味を表現されたのでしょう。
 ドラマはあと半分。
 それぞれの感情の落としどころを楽しみにしています。