今日は『細川護煕作陶展』に馳せ参じる日。
欲張りですからそれだけでは、せっかくの京都行きがもったいないとばかり、前日からプランを練りました。
個展は河原町三条あたりですから、鴨川の東側を漁っているうちに、例の朱印帳を埋めるべく新西国三十三霊場第19番、「鞍馬寺」に行ってみるこにしました。
貴船までは行ったことがあるのですが、うわさのパワーに怖じ気づいて避けていた場所が鞍馬です。
なのに、行こう!と決断できたのは多分、お殿様にお会いできるかもという高揚感のせいでしょう。
鞍馬山は東側に開けたお山ですから、朝陽のたっぷり注ぐ午前中こそ、鞍馬パワーが溢れる時間帯です。
鞍馬駅を9時に出発しました。
深々とした山の霊気は、感覚を洗い清めてくれます。健脚の方々に道を譲って一服しながらの山歩きです。ひとの何倍も時間がかかります。
それでも、一段一段、一歩一歩、歩けることに感謝しながら進みます。
数年前、一旦歩けなくなった脚が、今、この山道を歩いている。そんな自分だから、余計に感謝の気持ちがあふれます。
どうして、再び、歩けるようになったのだろうと、自問を繰り返したこの数年。
答えは、どなた様かの思し召しとしか考えられません。まだ、やることがあるだろう。歩かしてやるから、成せ。
内から聞こえてくる声に従っているうちに、貴船まで歩き通していました。
さて、今日のメインイベント。細川のお殿様の個展会場に到着しました。
お着物をお召しの方々が集まっておいでです。こんな、山歩きしてきたヨレヨレ婆さんが入ってもよろしいのでしょうか。
と、受付の男性に訊ねたら、あっさり「どうぞ」と。
これは、宋代の蘇東坡の詩です。
「谷川の音は御仏の説法の声
山の姿は清らかな御仏の体」
今日通ってきた山道で感じたこと、そのものです。
そういえば、鞍馬山の出発地点に「天地自然は活きたる一大蔵経なり」と書いてありました。
清浄な空気が感覚を研ぎ澄ましてくれるから、自然と同じく善性であることを思い出すことができる場所。それがお山なのではないでしょうか。
細川のお殿様が好まれる、蘇東坡、道元、良寛。彼らに共通するのが自然から学ぶ姿勢です。
歩ける間に、自然の中に出て五感で学び取りたいと思っています。
最後に。
東京展では言えなかった「May I take a picture?」。
鞍馬パワーでお写真ゲット!!
恐るべし天狗力!