こないだ、車の中で久しぶりにABCラジオ『上沼恵美子のこころ晴天』を聴きました。
彼女の長寿番組です。
スーパーに着くまでのわずか数分でしたが、それでも笑わせてくれたのはさすがでした。
話題は、アシスタント役の若手芸人さんの服装のことでした。近頃の若者はお金かけますから、その日も高級ブランドの『キツネ』のTシャツを着てきたそうです。
「『キツネ』?聞いたことないよ。いくらすんの?」
「一万円くらいです」
「そら、なんぼなんでも高いんちゃう?」
もうろくの始まっている私の頭は、あるかないかも分からない『キツネ』というブランドから離れません。へぇそんなブランドあるの?!
「そんなん、650円くらいが妥当やわ」と上沼さん。
それでも、まだ、堅い頭がブランド名から離れません。
上沼さんが、独り言のように、「キツネいうたらうどんやん」と、付け加えられて、ようやく大笑い。この人はやっぱり天才なんやと合点して車を降りました。
どうやって、こんなに上手に人を笑わせることができはるの?
庶民の食べ物「キツネうどん」を投げ込んで、視聴者の頭をうろたえさせた上で、予想しない方向へ放り投げるスピードが尋常ではありません。彼女のあたまの切れ方を思い知りると同時に、いまだに、このラジオファンが多いことも納得できたことです。
海原千里万里の話芸は、同年代の私たちと共にありました。
ずっと前の前、朝日放送の横にあったプラザホテルの中華料理『翠園』に、母のたっての希望で同行したことがありました。
ランチ時でした。人の顔を見たらダメと教えたくせに、母は人の顔をよく観察する人で、「あそこに上沼恵美子が居るよ」と囁くのです。
見たら、マネージャーさんらしき人と二人でお食事中。
うれしくなって、ミーハーの本領発揮です。駆け寄って、「すみません!サイン下さい!」と恥ずかしい行為を敢行してしまいました。
今から思えば、あきれられたからかもしれませんが、落ち着いたものごしでサインに応じてくださいました。
テレビで見る彼女ではない、静の一面を見て、一流になる人は違うなぁと思ったことも遠い昔話になりました。
さて、私たちは年とともに保守的になりがちです。新しいことに無縁になるものは仕方ないとしても、カチンコチンの石頭は避けたいところです。
柔らかい心と頭をキープすることが健やかさに直結することは間違いありません。
先日の動物園に続いて、今日は漫才をお勧めします。
それには、若手芸人さんの巧みな話芸もよりも、やっぱり同じ時代を生きた人の感覚が腹からの笑いを誘ってくれる気がします。
だから、上沼恵美子さん、まだまだ頑張って下さい!