こころあそびの記

日常に小さな感動を

ええ加減がええんよ


 全天真っ青な空に、眩しい太陽が上ってきます。
 同時に気温がぐんぐん上がって、愛犬の頭まで熱を帯びるのに時間がかからない状態です。
 地球の長い歴史には、こんなこともあったと聞いていますから、人間は耐えて乗り越えてきたはずですが、冷房も冷蔵庫もない時代にどうやって生き延びたのでしょう。その当時の人々のお知恵を借りたい暑さです。

 こんな日は気分だけでも、“さわやか”に過ごしたいものです。

 といいながら、のっけから重いテーマですが、人生相談といえば嫁姑問題の時代がありました。
 女親の男児への愛の深さゆえのことですから、永遠に消えることはないだろうと思われてきました。
 お姑さんから学ぶという面も確かに昔はあったようで、その機会がなかった私など、母から「あんたは姑苦労してないから人間ができてない」とよく愚痴られたものです。
 ところが、先日、お姑さんのことを「私はあんな年寄りになりたい」と憧れをもって語られるお嫁さんに出会いました。
 お義母さんは九十歳を超えて独居、未だにお元気に自転車に乗ってらっしゃるそうで、会うたびに、薬剤師の息子(彼女の夫)に向かって「あんた、薬まちがいなや、私はそれが心配で」とおっしゃるそうです。


 会話のきっかけは、「こころ旅」で火野正平さんが、「これからも真剣に生きます」というお手紙を読んだあとで、「真剣すぎるなよ。ええ加減がええんやで」と付け足しておられたことを伝えたことでした。
 彼女の方から、「お義母さんはそんなところあります」と応じてこられました。
 やっぱり!”抜け感“という言葉が流行りです。”きっちり“はこんなことでも流行おくれのようですね。
 

 私たちは生まれてこの方、真面目にやれとずっと教え込まれてきました。
 それを守ってきた真面目な人にとってコロナ禍がどれほどの重荷を背負わすことになったことでしょう。あれはいけない、これはいけないと。
 真面目に真剣には勉強だけでいいのです。生き方はできるだけ“こだわらない”ことです。
 良寛さんが書かれた「天上大風」。どこまでも吹かれるがままの書体。それが、良寛さんが行き着かれた自然体です。
 しないといけない。と自分に強迫しないで、いつかできたらいいし、できなくてもいいし。くらいでどうでしょう。
 気を張り詰めることが、体に無理を強いています。
 ゆっくりいきましょう。